嗚呼、インドネシア
75話 ムアロジャンビ訪問記
1. 寺院群の紹介

以下はwikipedia indonesia<http://id.wikipedia.org/wiki/Kompleks_Candi_Muaro_Jambi>の記事の和訳である。

前文
 ムアロジャンビ寺院群遺跡はスリウィジャヤ王国とムラユ王国の遺跡でありインドネシア最大の面積を持つヒンドゥー教・仏教の遺跡の一つである。この寺院遺跡はジャンビ州Muaro Jambi県Muaro Sebo郡に位置しており、バタンハリ(ハリ川)に面しており、ジャンビ市から東方約26kmにある。緯度と経度は南緯 01 28'32" 東経 10340'04"である。この寺院は11世紀のものと考えられている。またこの寺院はスマトラ島で最大で最も保存状態が良い。2009年以来ムアロジャンビ寺院群はユネスコの世界遺産の候補に挙がっている。

遺跡の発見と修復
 ムアロジャンビ寺院群は軍事目的で川の流域地図を作製した英国軍中尉S.C. Crooke が1823年に報告したものである。1975年になってインドネシアが、R. Soekmonoの指揮下で復元作業を実施した。発見された数葉のジャワの古文書によると、金石学の専門家のBoechariはこの遺跡が9-12世紀にできたという結論に達した。この遺跡では9か所の修復が終わったばかりで、すべてが仏教様式を備えている。九つの祠堂とはKotomahligai祠堂、Kedaton、Gedong Satu、Gedong Dua、Gumpung、Tinggi、Telago Rajo、Kembar Batu、Astano祠堂である。
 発見された多数の遺物から、Junus Satrio Atmojdoは、この地域には以前多数の人達が居住し、文化の交流点になっていたと結論付けている。ペルシアと中国、インドの数珠もある。曼荼羅を模した祠堂でvajraという文字が書かれた破片が発見されたので、ここでの主体は大乗密教であろうと推測される。

寺院群の構造
ムアロジャンビ寺院群はバタンハリ(ハリ川)の古い自然堤防上に位置する。この遺跡は12平方キロメートルの広さを持ち、川沿いに7km長で260haにわたっている。この遺跡には比較的大型でまだ発掘調査が行われていないマウンド(土の山)のままである61の祠堂がある。この寺院群にはヒンドゥー教の影響を受けた建造物も存在する。

 この寺院群には、祠堂のみならず人口の水路やため池、内部が古いレンガで作られたマウンドも発見された。寺院群の中にはいまだ住民の所有になっている少なくとも85か所のマウンド(menapo)がある。構造物の遺跡以外に、寺院群からは文殊菩薩像、山門の像、虎と像を組み合わせた像、礎石、石の破片が発見された。漢字が書かれた青銅のどらや金の板に書かれた仏教の経典、外国の陶磁器、青銅のツボ、中国貨幣、数珠、文字や絵、記号が書かれた煉瓦、石の仏像の破片、鉄と青銅の破片とともに出た貴石がある。この寺院群の外側にも人工と思われる小さなマウンドが存在する。現地の住人の話ではこの小さなマウンドはBukit SengaloあるいはCandi Bukitと呼ばれている。
 ウエブサイトの地図から起こした寺院群の平面図は以下のとおりである。
 遺跡公園への入口はCandi Gumpungの南側に位置している。

建造物の紹介
以下の紹介文はMuaro Jambi県の文化観光課などが作成したパンフレットから和訳したものである。

県観光課作成のパンフレット

ムアラジャンビ村自立観光開発計画のパンフレット

グンプン祠堂(Candi Gumpung)
 
 グンプン祠堂は寺院群の中心に位置しており、博物館の正面に位置している。この祠堂は150m x 155mの石垣に囲まれており、主門は東に面している。この祠堂は17.9m x 17.3mの平面寸法を持ち、1982年から1988年にかけての復元作業の前は9.85m x 7.95mであった。この復元作業の際に文殊菩薩、蓮の形の座禅像、金剛杵(Vajra)、青銅製の首飾りの破片等が発見され、これらは寺院群遺跡内の博物館に保管されている。

 左の写真はグンプン祠堂 Batu Pelangiから借用。

ティンギ祠堂 (Candi Tinggi)

 ティンギ祠堂はグンプン祠堂の東側200mの場所に位置し、広さは2.92haで六基の祠堂の中央に主神殿が置かれている。主神殿は7.6mの高さを持ち16m x 16mの正方形をなしている。主門は東側に面し裏門は西に面している。復元作業の際、鉄片や青銅片、9〜14世紀のものと思われる中国陶磁器が発見され、これらは博物館に収納されている。おそらく9世紀のものと思われるPranagari文字が書かれた煉瓦も発見された。

120219-23s

120219-26s

クンバルバトゥー寺院群(Candi Kembar Batu)

 クンバルバトゥー寺院群はティンギ祠堂から東南方向200mに位置している。広さは59 x 63mであり、一基の主神殿に復元された五基の神殿と未復元の二基の神殿がある。主神殿は11.39m x 11.33mである。

120219-06s

120219-07s

120219-11s

120219-12s

120219-10s
アスタノ祠堂 (Candi Astano)
 アスタノ祠堂はティンギ祠堂から東方1250mに位置している。この祠堂は12角形をなしており、専門家によると建造時期が異なるか、あるいは増築された三基の建物を合わせたものであるとのことである。祠堂周りの清掃作業中に、二体の文殊菩薩の石像と、石仏、坐像、石臼、数珠(天然石の首飾り)、宋時代の陶磁器などが発見され博物館に収納されている。

120219-16s
グドゥン祠堂-1 (Candi Gumpung -1)
 グドゥン祠堂-1は5,525m2の敷地に建っている主神殿と山門から構成されており、65m x 85mの石垣に囲まれた14.5m x 12.5mの面積を有し崩れている入口は東側に位置している。祠堂-1と祠堂-2は隣接しており、祠堂-1は東側に祠堂-2は西側に位置している。建設時期は不詳であるが、15〜16世紀に作られた東ジャワ州のヒンドゥー仏教寺院に類似している。これに対してここで発見された陶磁器は10-13世紀の宋時代と15-16世紀の元時代、14-17世紀の明時代、20世紀までの清時代のものである。

この写真はCandi Gedong-2のものかもしれない。(Batu Pelangiから拝借)

グドゥン祠堂-2 (Candi Gedong-2)

 グドゥン祠堂-2は75m x 67.5mの広さの境内を有し、その中央部には9m x 9mの主神殿がある。ここでは砂岩でできた背中に獅子を乗せた象の像が発見され、博物館に収納されている。
ケダトン祠堂 (Candi Kedaton)
 ケダトン祠堂はムアロジャンビの遺跡測量の際の1976年にその存在が知られた。この祠堂は55,850m2の広さを持ち、この寺院群の中では最大のものである。

その他

 Sengaloの丘、Telaga Rajo池、古い水路などがある。
この話のTopへ 次に進む

目次に戻る

2012-04-12作成
2015-03-23 修正
 

inserted by FC2 system