度欲おぢさん的イスラム相談室
第九相談室 イスラムの聖書 アル・クルアン

 イスらムではムハンマドを最後の預言者としており、それ以前の預言者は「時期と場所によって神様が適宜つかわしたものである」としています。ムハンマドが説いた神の啓示はクルアンとしてまとめられています。この本は岩波文庫の井筒俊彦訳「コ−ラン」として日本では大きな書店で買うことができます。一冊570円で三分冊になっています。この本は1958年に初版が出されてから1991年には30刷になっていますから数万部が出版されている勘定になります。ムスりムが極めて少ないと言われている日本でこれだけの数がはけたということは、「隠れキリシタン」ならぬ「隠れムスりム」が結構多いのかもしれません。この本は解釈本であるのですが、公式には「聖クルア−ン」が日本ムスリム協会から発行されています。三千円でした。

 日本人ムスりムもかなりインドネシアを訪れているようでナカムラ博士やフタキ教授(音訳)がインドネシアの人には有名です。東京都世田谷区大原にイスラミックセンターがありますので日本のムスりムについて詳しいことを知りたい読者はそちらにきいてみてください。

 クルアンは最初の章のAl-Fatihah(開扉)から最後のAn-nas(人間)までの114章から構成されています。第一章は短いものですが第二章はとても長く、終章に近づくにつれだんだん短くなっていきます、

 クルアンの中身はすべてアッら−からの啓示であり、ムスりムはそのまま信じなくてはいけないことになっています。また、人生はすべてクルアン通りに送らなければならないのです。誕生から死んで数年目の法事までが全て決められています。厄介に思えますが、ただこれさえ守っていれば神様に救われるのですから、気は楽です。

 日本の時代で言えば、「大化の改新」の数十年前にアッら−がアラブ人に向けて下したものですし、日本とアラブは気候風土や国民性が余りにも違うので、内容が分かりにくく日本人にはとっつきにくいところがあります。仏典などをよく読まれている方には、余りに現実が表面に出すぎていて、「ありがたさが半減する」と思われるでしょう。これはアラビア語独特の表現方法だとのことです。

  第17章のAl-Israak(夜の旅)の第一節に、アッら−の使いがムハンマドを連れて空を飛んでメッカからイエルサレムまで一晩の内に往復したとあります。この時にアッら−がムハンマドにお祈りの仕方などを直接教えたと言うことです。また、インドネシアの人はその乗り物には翼が生えていて光の何倍の速さで飛ぶと言うのです。これを「アッら−はすごい」と感心しています。しかし、この両都市間の距離はたったの1500kmで、インドネシアで言うとJakartaからBali島の次のLombok島までの距離しかないのです。今ではジェット機で二時間もあったら十分な距離です。また、航空力学では翼があると大気圏内では翼にかかる空気の摩擦抵抗により飛行速度に限界があることになっています。事務所で「こんな簡単なことも知らないで、ただ『すごい』と感心しているからムスりムは馬鹿にされるのだ」と言ってやりました。すると、会社の事務員の一人がかんかんになって食ってかかってきました。世界地図を見せて地図上で説明してやると不服ながらも承知したようでしたが、不満はまだ彼の顔に残っていました。
 タキオン粒子かどうか忘れましたが、最新の量子力学ではどうも光よりも早く伝わるものがあるようですから、速度の点では文句をつけませんでしたが、「翼の一件」は筆者の技術者としての権威もあるので一言つけ加えました。「1500年も前の人達に分からせるためには、その当時一番速く動ける鳥のイメ−ジが最適だったのだろう。鳥には翼が生えて空を飛ぶから翼の生えた乗り物として教えたのではないだろうか。実際にはドラエモンの「どこでもドア」のようなテレポ−テ−ション技術を使ったのだろう。こう考えると技術的問題も解決できる」と。勉強不足の信者は教えられたままにこんなとんでもないことを言い出します。ここでもインドネシアの「人的資質」の問題が顔を出してきました。
 あるいは、ムハンマドは幽体離脱したのかもしれませんよ。そう考えるとかなり身近になり話も楽しくなってきますね。

  信仰というのは信じることから始まりますから、この「夜の旅」の一件を信じるも信じないもあなた次第です。

 この記念日が1995年には12月20日でした。後にくわしく書きますがイスらムでは太陰歴を使っていて、われわれが使っている太陽歴よりも一年で数日短いのです。ですからイスらムの休日は毎年少しづつずれることになります。

 クルアン以外に大事な書物としてハディ−スがあります。キリスト教で言えば新訳聖書に相当するムハンマドの行動記録です。クルアン以外の戒律として使われます。実際に使われていることをおいおいお話しましょう。

[参考文献]

1. 「コ−ラン」井筒俊彦訳 岩波文庫
2. 「超ひも理論入門」 F.D.ピ−ト著 講談社ブル-バックス

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頁作成 2009-09-24
追加訂正 2010-11-26

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