自作エッセイ集 第2部 般若心経 美川味

 よろず宗教掲示板にきょうかさんが 2000 年 03 月 22 日 08:07:30:に書き込まれた「Re: 訳の分かる仏典」で、みかわ版般若心経に関心を寄せていらっしゃり、比叡 さんも 2000 年 03 月 23 日 06:03:35:に書き込まれた「Re: 訳のわからない仏典」で、「空即是色」の部分に興味をお持ちのことでしたので、浅慮無謀を省みず「平成みかわ体」で般若心経にどの程度接近することができるか挑戦してみました。度欲の理解はもちろん不十分でありますので、ご高見を賜りたくお願い申し上げます。

 語りは、おなじみの毒舌「みかわ」です。  [度欲]


【ステージ 1】

 みなさーん。こんにちわぁ。今日も大入り満員でありがとうございます。

 今日は歌のステージじゃなくって、ちょっとお経について話してみようと思います。「そんなぁ」なんて顔しちゃだめよぉ。

 寝てないでちゃんと聴くのよ、アタシのは・な・し。フンッ!

 

 知ってたぁ?「般若心経」ってお経?

 知らないのぉ、やーねー、アンタそれでも日本人なのぉ?ジョシーキないわよねぇ。ホント。

 アタシだって名前は知ってたけど、内容を知ったのはつい最近なのよぉ。ナニ、棺桶に近いからだってぇ。馬鹿いってんじゃないわよ。アンタもおんなじよっ。

 アタシだってちゃんと宗教教育を受けたわけじゃなくって、聞きかじりを集めたモンだから、あまり難しいコト質問されても困るわよぉ。そんなことはお坊さんに聞いてちょうだいよっ!フンッ!

 さあ、本題にはいるから耳をかっぽじくって聴くのよ。……アラッ、あたしとしたことがはしたない言葉使っちゃったわぁ。

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 このお経は「仏説摩訶般若波羅密多心経」っていう長ったらしい名前なのよぉ。面倒だから短くして「般若心経」って呼んでいるだけのことよぉ。

 でもさあ、きょうかさんが言っていたように中国語だから漢字だらけよねぇ。お経の中身をしっかり読んだってそう簡単に分かるもんじゃないから、何語で書いてあってもおんなじなのよね。どーせ。大事なのはその音じゃないかと、ゲーノージンで歌手のアタシは思うわけぇ。

 まずさーあ、お経の最初に観音様が出てきちゃうのよ。それもうやうやしく本名で観自在菩薩なんてねぇ。カメラのCanonの名前の由来は大砲じゃなくってこの観音様なんですってねぇ。

 この観音様が行をしていた時に突然悟っちゃったのぉ。今までわからなかったこともどっかーんって、いっぺんにぜーんぶわかっちゃったのよぉ。ぜーんぶ分かっちゃったから、困難も不幸もぜーんぶ超越することができたってわけぇ。

 何が分かったってぇ?うるさいわね、噺の先を急かせるんじゃないわよぉ。今日のステージ、二時間この噺で持たせるんだから、邪魔すんじゃないのっ。チョットお、そこのおばさん、そこでちょろちょろしている幼稚園児、どっかに置いてきてちょうだいよぉ。目ざわりで落ち着いて噺ができないじゃないのぉ。歌ならエイギョーで場末を周ってるから慣れてるけど、噺は今回が初めてなのよぉ。フンッ! 


【ステージ 2】

 お釈迦さまが「シャーリープトラよ」って呼びかけたんですってぇ。シャーリープトラって自分の息子よぉ。やーねー、世襲性みたいねぇー。でもこの子、アタマのとても良い人だったんですってねぇ。

 あるもの(色)は空(くう)とおんなじだし、空は色と一緒なんだってぇ。だから色は空であり、空は色なんだ、って言ってるわよぉ。 感覚や思考知識なんかもおんなじ「空」ってこと。

よくさあ、花より団子なんていうじゃない。色気より食い気。腹が空(カラ)だから、若いうちは色気とすきっ腹が同居している、なんて落語に出てくる熊さん・八っつあん的発想だけどぉ、そうじゃないみたいよぉ。

 ここが般若心経のもっとも大切なとこだから、いろんな風に説明してみるけど、アンタ、ホントに分かるかしらぁ。

 ある学者は(……ゲーノー人のアタシだって本くらい読むのよっ……)水素原子にたとえたのぉ。

 身体はアンタにだってアタシにだって見えるし、触れば分かるでしょ。でも、それをどんどん拡大していくと、皮膚と毛穴が見えてきて、皮膚の細胞、細胞を構成している物質が見えてくるわよね。そして蛋白質の分子が見えるはず。最後には原子にたどり着くってわけぇ。分子をさらに細かく見ていくと蛋白質を作っている窒素と酸素と水素、あれ、まだあったかしら……まあいいわ、があるって学校で習ったわよねぇ。

 この元素の中で水素を見てみましょうよ。他の元素だって良いけど、アンタに分かるように噺を簡単にするには水素がいちばんなのよっ。

 水素は一つづつの陽子と電子からできているって習ったでしょ。アタシだって見たことないけど「そうなっているんだって」としときましょうね。

 陽子をサッカーボールの大きさとすると電子はパチンコ玉くらいのおおきさになって、それが、なんと半径約100kmで陽子の周りをぐるぐる周っているんですってぇ。東京駅に陽子を置いたとすると小田原、伊豆大島、銚子、前橋、甲府の先あたりをパチンコ玉が周っていることになるのよぉ。その間には何があるってぇ。それが「空」だってこの先生は言ってたわよぉ。

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 この前、「不適格者排除問題」でみんなに散々いじめられた度欲おぢさんがこんな風にも言っていたわよぉ。「空」はバーチャル、「色」はリアルの世界。「空」は情報の世界で「色」は物質の世界。「空」は意識体で「色」は肉体だってぇ。

 アンタぁ、分かったぁ。おぢさんもあまり分かっちゃいないとは思うけど。……アタシもさっぱりわかんない。でもいいじゃないのぉ。

★★ああっ、そこのオバサン、寝てちゃだめよぉ。ちゃんと話し聞いててよねぇ。


【ステージ 3】

 バーチャルとリアルって、よく分かんないけど、仮想と現実の世界みたいよね。「仮想と現実はおんなじもの」うーんそうよねぇ。

 情報と物質なんていえばもっとわかりやすいかもしれないわねぇ。物質は情報から構成されているなんて言ってた人もいたようだけど、そうかもしれないわよ。だって、「情報は財産」なんていうじゃなーい。

 意識体と肉体なんて、おぢさんの大好きな「生きがいの@@」から引っ張り出しきてとってつけたみたいよねぇ。意識体っていうけど、普通は霊魂とか呼ばれているものらしいのよぉ。

 「空」って言われているものはどれも手じゃつかめないし、機械にかけて測定するわけにもいかないでしょ。だから「空」なんだってぇ。

 バーチャルも情報も意識体も無限にあるわけだから数えることができないわよねぇ。これをアタマで数えるんじゃなくって、心でそれを全て読みとってしまおうってことなのよぉ。アタシ達の頭の中は文字っていうデジタル情報が駆け巡ってる見たいにおもうでしょ。違うのよー。アナログ情報なのよぉ。アナクロじゃないのぉ!

 噺を意識体に絞ると、こんな風になるんだってぇ。ホントかしら。

 意識体だけでいる時には、苦痛も怒りもなく穏やかな時間が過ぎていくのねぇ。ところが意識体ってやつが肉体に宿った時から、苦痛と怒りなどが始まって、本来の自分であるはずの意識体を悩ますってわけぇ。これはねぇ、意識体がその肉体に与えた試練なのよぉ。だから、ものの考え方の中心を肉体から意識体に移すことができれば、苦痛も怒りも意識体の訓練課程におけるひとつのカリキュラムだってことがわかるじゃなぁい?そうでしょ?

 ということはさぁ、いまアンタが感じているのは本当の苦痛でも怒りでもないのぉ。そんなものはないっ、幻想でしか過ぎないって言ってるわけぇ。

 生きている時が特殊な状態で死んでいる時が普通の状態である、なんて訳のわかんないことが「いきがいの@@」に書いてあったわよ。それも退行催眠の症例報告にぃ。死んでいる時は肉体がないから、苦痛も怒りもないわけよ。苦痛も怒りも脳内ホルモンから出されるものよねぇ。死んじゃったら脳味噌は腐っちゃうわけだからホルモンが出てくる訳ないでしょっ、ねぇー。


【ステージ 4】

 おぢさんは、人間をパソコンにたとえてこんなことを言ってたわよぉ。

 意識体の持つ情報は肉体の脳の奥にしまわれていてめったなことじゃ表面に出てこないが脳の持つ情報は意識体が記憶している。ンですってぇ。

 人間が死ぬということはパソコン本体が壊れちゃうこと。でもハードディスクの中の情報はちゃんと意識体が記憶しているんですって。意識体ってこの世のものじゃないし、それに組み込まれている仏様からの「無尽蔵ネットワーク」に常にオンラインで接続してるから、仏様はいつでもどこにいてもアタシ達のことをなんでも読めちゃうわけよぉ。でも、このネットワークは大体一方通行でさぁ、ファイヤウォールがとっても高いから修行をしないと、アクセス権がないのよ。ということは、仏様の言っていることがわからないことになるのぉ。

 おぢさんはこの修行を訓練コースって呼んでいるんだけど、それをフツーの人は「宗教」って呼ぶものなんですってねぇ。宗教をプロバイダーの一種だって呼んでいたけど、そんな考え方もできるかもしれないわよねぇ。

 こんなこと考えた人って昔もいたし将来もいるでしょうねぇ。バッカみたいだけど、このアイデア結構イケルかもよぉ!

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 ところでさーあ、さっき「無尽蔵ネットワーク」って話したけど、アンタぁ、ネットワークって見たことある?

 あるってぇ?ウッソー。そんな物体ないわよぉ。

 バッカねぇ、アンタの見たのはネットワークのじゃなくって人や機械じゃないのよぉ。よく考えてからモノをいうのよぉ。でしゃばり幼稚園児じゃあるまいし、フンッ!

 「無尽蔵ネットワーク」ってネットワークだから、バーチャルの世界なのよぉ。ファイヤウォールのアクセス権をとって、このネットワークの会員になっちゃえば、仏様といつでも相談ができちゃうし、悩みも苦痛も怒りもなーーーーーんにもなくなっちゃって、とってもすがすがしい気分になって、心には慈愛だけがのこっちゃうことになるのぉ。

 このネットワークの会員になるためには、アクセス権をとらなくちゃならないのょ。そのためにはプロトコルが必要なの知ってたぁ?アンタもやってみるぅ?万能でとっても素敵なプロトコルなんだからぁ。

 そのプロトコルっていうのは「ぎゃーてー、ぎゃーてー、はーらーぎゃーてー、はらそうぎゃーてー、ぼじそわか」って言うのよぉ。

 「すべてのアクセス権をとって無尽蔵ネットワークにオンラインできた人達は幸せよねぇ」って意味らしいのよぉ。

じゃーねー。

みかわよん!

 (終)


2015-03-28追加分
 1990年代からコンピューターが普及し始め、コンピューターやネットワークに関する知識が人口に膾炙し始めた。この知識と用語を使うと従来に比べてずっと正確に神と宗教について説明ができると思う。

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