嗚呼、インドネシア
第80ブランタス河開発プロジェクトのその後

2014年に各種分野でインドネシアの公団のベスト50をインドネシアの経済誌Investorが選び出した記事をたまたま2015年1月にインドネシアの出張先で見つけたもので、この公団の前身であるブランタス河開発事業にも筆者自身が1970年代から90年代までかかわっていたのみならず、元勤務先である技術コンサルタントの日本工営の大先輩方の尽力がこのような良い結果になったことがとてもうれしく、ここに和訳を掲げることにしました。
また同じ記事は日本工営のOB会ニュースVol. 91 (平成27年春号)にも掲載されました。


 戦後の日本政府の賠償事業から始まった東ジャワ州のブランタス河開発事業は、1965年のスハルトのクーデターに伴う混乱を乗り切って、1970年代には上流部のKarang Kates (現在のスタミダム)からはじまり、下流部はKali Porong放水路とスラバヤ市内の洪水防御事業にいたるまでの水力発電事業と治水・利水事業が終わったのは1990年代であった。
 これを担当していたのはProyek Kali Brantasと呼ばれる事業団で現在の公共事業省(DPU)と電力公社(PLN)のスタッフが構成していた。日本側のコンサルタントは主に日本工営であった。
 建設工事の完成後は設備の維持管理のために、第一水資源公団 (Perum Jasa Tirta 1 )が設立された。 

 第一水資源公団が担当しているダムはブランタス河とソロ河に建設されたもので、その位置を下の図に示す。

Brantas河流域図

Solo河流域図
 
以下はinvestor誌の記事である。
農林業支援事業部門

発電事業から水辺の観光まで
飲料水の原水と工業用水、灌漑用水、その他の水需要に対する供給サービス、さらには電力会社(PLN)の水力発電用水の供給を運営している、東ジャワ州マラン市にその拠点を置く第一水資源公団(Permum Jasa Tirta I)は昨年(2013年)の目標を達成した。
1970年代にブランタス河に二つのダムを建設したあとに公団設立のアイデアが浮上し、その後、2012年から520億ルピア(約5億円)であった純利を27.3%増やし、昨年には665億ルピアに達した。この利益の増加は昨年からの17.41%の営業収入増が貢献している。2012年には第一水資源公団の事業収入は2833億ルピア(約28億円)であったが昨年には3326億ルピアに増加した。
初期の名がブランタス水資源公団(Perum Jasa Tirta Brantas)であった同公団は上級エンジニアたちの考えにより設立された。その中にはスタミ教授・博士とスディヤトモ教授・博士がいる。
また、資産に関して同公団は昨年、2012年の3005億ルピア(約30億円)から20.86%の増加をみて2013年には3633億ルピア(約36億円)に達した。同公団の総資産利益率(ROA)は20.02%を記録し、同種の農林水産業支援公団のROAである3.5%から12.4%を凌駕している。一方、同公団の株主資本利益率は25.13%に達している。本Investor誌が第一水資源公団をこの部門の一位と評価しても間違いではあるまい。[FW]

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2015-03-02 作成
 

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