嗚呼、インドネシア |
第56話 1998年5月のジャカルタ暴動 |
約20年前の古い話になるが1998年5月のジャカルタ暴動の時に日本側の安全管理担当と交信したもののアーカイブと帰国した際の記録をここに示す。もう二度とこのような記録を取ることがないようにしたいものだ。
大学名 | Street Atlasのページとコーディネート | その付近の地名 |
17Agustus45 | 16 Q06 | Ancol |
Borobudur | 57 U23 | Cawang/Halim |
IKIP JKT | 36 S16 | Rawamangun (ゴルフ場の北隣) |
Indonesia | 35 O16 | Salemba (Cikiniの東) |
Muhammadiah | 73 F31 | Ciputat (Lebak Bulusの南) |
Sahid | 55 O22 | Tebet |
Trisakti | 26 S12 | Kelapa Gading |
これは、一応の目安です。その点ご承知おきください。「君子危うきに近寄らず」です。
1998/5/02
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ1日共同】インドネシアのスハルト大統領は一日、与野党三党の党首と閣僚を集めた会合で、国民各層から要求が出ている政治改革について、任期中に取り組む意思がないことを初めて明確に伝えた。
インドネシアでは、三月のスハルト大統領七選後、政治改革を求める声が急速に拡大。連日、各地の大学で民主化を訴えるデモや集会が活発に開かれており、学生らの大統領退陣に向けた抗議行動の激化が予想される。
ハルトノ内相によると、大統領は会合で正副大統領選出のため三月に開かれた国権の最高機関、国民協議会が大統領の任期が終わる二○○三年までの国家大綱を決めたことに触れ「国民は既に指針を持っている。政治改革の要求があるなら二○○三年に向け準備をしたらよい」と述べた。
与野党党首と閣僚を集めた会合が開かれたのは、スハルト大統領が就任した一九六八年以来。ジャカルタの外交筋は「学生や市民の要求にいらだった大統領が、政治改革問題を国会の論議に発展させないよう先手を打った」とみている。
北スマトラ州メダンからの情報によると、一日メダンのイスラム大学では、スハルト大統領退陣を求める学生約五百人がタイヤを燃やしたり治安部隊に投石、治安部隊側は催涙ガスや放水車を使い鎮圧した。このほか、バリ島デンパサールのワルマデワ大学で約千人が集会を開き、南スラウェシ州のウジュンパンダン教育・工科大学で五百人がデモをした。
[1998-05-02-08:11]
共同通信ニュース速報
ジャカルタ2日共同】政治の民主化を要求する学生の抗議行動が続くインドネシアで二日、スハルト大統領が政治改革に取り組む意思のないことを一日明言したことに学生が猛反発、各地の大学で大統領の退陣などを求めるデモや集会が行われた。 ジャカルタの国立インドネシア大のキャンパスでは、学生や教職員約三千人が集まり「今すぐ政治改革に取り組め。スハルト大統領の任期が終わる二○○三年まで改革を待てというのか」と口々に訴えた。治安当局はキャンパス周辺に機動隊約五百人のほか、首都師団の兵士や狙撃部隊を配置し厳戒態勢を敷いている。
学生を支持する市民約二千人がキャンパスを取り囲んで見守る一方で、当局も次々と兵士を増派、一触即発の緊張状態となっている。
首都ではまた、ジャカルタ教育大で学生数百人が集会を開いた後、インドネシア大学での集会に合流しようと学外に出たところで機動隊と衝突、学生数人が負傷した。
[1998-05-02-20:17]
時事通信ニュース速報
=政治改革への消極姿勢に反発=
【ジャカルタ2日時事】インドネシア各地では同国の「教育の日」に当たる二日、大学構内やその周辺などで学生による激しい反政府デモが繰り広げられた。学生らは、スハルト大統領が一日に政治改革は二○○三年まで行わないと言明したことに強く反発しており、デモがさらに激化することも予想される。
このうち北スマトラ州メダンでは、ノマンセン大学の学生がキャンパス前で古タイヤに火をつけたり、大統領の三男が経営する自動車メーカーが製造した乗用車を付近のショールームから引っ張り出して放火した。また、聖トマス・カトリック大学でも学生が大統領の退陣を求めて座り込んだ。
一方、ジャカルタでは、外国語大学で治安部隊が催涙弾を発射して四人が病院に運ばれ、教育大学でも七人が負傷した。さらに、スラバヤやバンドン、ジョクジャカルタなどジャワ島の主要都市でも政治改革の断行を求める学生デモが行われた。
[1998-05-02-19:55]
時事通信ニュース速報
=「たたり」と住民震え上がる=
【ジャカルタ2日時事】インドネシアのスラウェシ島で、大蛇が大人の男性をのみ込む事件があった。被害者は以前、蛇を二匹殺したことがあり、住民は「蛇のたたりだ」と震え上がっている。
被害に遭ったのは、南スラウェシ州北部に住む農民のバントゥさん(三五)。地元紙によると、妻と農作業をしていたバントゥさんは、妻だけを自宅に帰し、一人で畑に残った。ところが、翌朝になっても戻らず、心配した妻が畑に隣接する森を捜索。バントゥさんが愛用していたナタや帽子、靴とともに、血痕が見つかった。
血痕をたどると、薮の中で巨大な蛇が動いているのを発見。村人約二十人が駆けつけて蛇を捕まえ、首を切り落とした。蛇は体長五・七五メートルで、体重は推定二百キロ。腹を割くと、中から服を着たままのバントゥさんの死体が現れた。額に二カ所、かまれた跡があったものの、体はほぼ完全な状態だったという。
[1998-05-02-08:02]
5/02のポスコタから
【註】《》内は投稿者の意見。
(1) 2003年以降なら政治改革をやってもよい。
ハルトノ内務相の発言を引用した形で、同内相と副大統領が同席した国会議長との懇親会の席上、「社会改革を禁止している訳ではないが2003年より後にすべきだ」と大統領は語った。《大統領はなんか弱気になってきましたね。自分の任期中だけ安泰なら良いということか》
(2) IMF以外に世銀から六億ドルの追加。
「来週月曜日のIMFの決定次第だが」と世銀アジア大洋州担当副総裁のデニストレイが語った。彼によれば援助総額は十億ドルに達するとのこと。IMFと世銀以外にはアジ銀が緊急援助をすることになっている。
(3) 石油燃料(BBM)の値上げは国会に相談済。
BBMと電気料金の値上げは既に国会のグループ(fraksi)代表に相談済である。5/03の国会のコミシVで最終決定がなされ直ちに公布されるだろうと鉱山エネルギー相が語った。《この値上げでイブイブたちが怒って立ち上がる機会になるかもしれない。》
(4) 公共輸送機関の運賃値上げは来週から。二倍にはならないことは確実。本件はだいぶ前から国会に諮っていた。運転費用とスペアパーツの価格上昇がBBM価格上昇に影響を及ぼし、維持費を押し上げているので、運賃値上げは避け難いと、陸上交通大臣が語った。
(5) ABRI(軍)が失踪者捜索チームを編成済。
チームの編成員はSjamsu D准将, Marwan
Fariz警察准将で、この事件に巻き込まれた各軍の事情を精査するとウィラント司令官は語った。《この面々がどちらの側か不明なので、「おざなり」なのか「積極的」なのかなんとも言えない》
(6) ジャヤバヤ、ジャカルタ教育大学生がlong march。
金曜日の朝、数千人のジャヤバヤ、ジャカルタ教育大学生が発言の自由を要求してビラを撒きながら路上を二時間long marchした。このため道路交通は麻痺状態に陥った。1200人のこの両大学生はIKIP(教育大学)で合流して二時間の抗議集会を開いた。その一時間後、国会議事堂を目指して道路に出ようとしたところ数十人の警備側ともみ合いになり、結局警備陣を突破してJl.Pemudaに出た。ここで数千人の大学生は東西に二手に分かれて道路を行進した。
(7) メダンでは数十軒の商店と自動車が破壊される。
北スマトラでは社会不安に陥った数百人のノメンセンとUISU大学生がデモ。数十軒の下駄履き住宅(Ruko)と数台の自動車を投石で破壊した。警察のオートバイも一台焼かれた。
(8) 亜民東ティモール問題でヒヤリングされることにでHuman
Right Caucusに失望。
「前もってこの問題に関し公式会議でヒヤリングが行われる事を知らされていなかったことは残念だ。はっきり言って何の準備もしていない。東ティモール問題で証言を求められるとは今朝まで全く知らなかった。これは以前に連絡されていた問題とは違う。」と亜民は語った。《アメリカは汚いやり方をしますね。これは亜民を蹴落とそうとするイ政府側の陰謀かも》
(9) 大学生のデモは、モラルとエチケットにのっとり実行して欲しいとジャカルタ警察本部長がかたった。ここ数週間で彼の部下の数人が重傷を負っているとも白状した。
《「家族を抱えた部下たちが負傷するのはもうカンベンしてくれ」といったところか。業務上の死傷者については手厚い保護を与えることになっているので、軍も経済的に苦しいのかもしれない。》
(10) 約150人の鉱山労働者がボゴールから18台のバスに分乗して、警察庁本部にデモ。ボゴール警察に収監されている三人の鉱山労働者を釈放するように要求した。この三人は、爆発物を使って山の石を爆破したことで逮捕されたもの。《このあたりは、ジャカルタ市内の建設資材の石取りと、セメント材料の石灰岩が多いことで有名》
(11) スマランで若者たちの50団体が州議会事務所にデモをかけ、45年憲法とパンチャシラの実施、「新政策」政治への引責を要求した。《スマランの学生はまだ甘い。だからジャカルタ大学生から口紅やブラジャーを送り付けられるのだ。》
(12) 学生たちは虫よけローションを使うように。
学齢期の子供たちの46%がデング熱に感染している。各自が虫除けローションを使うようにと健康省が提案している。《医者に尋ねないと病名を教えてくれないので、発熱しても風邪なのかデング熱なのか不明》
(13) 刺青のオートバイ泥棒があざだらけにされた。
こいつ「ハサン」は、タンゲランで金曜日の昼に、金曜礼拝を装ってモスクに入り、礼拝が終わる直前に抜けだそうとした。この動きに疑惑を抱いた礼拝者が「どろぼー」と叫んだため、マスジッドの外にいた礼拝者たちが取り押さえた。他の礼拝者たちもハサンを取り囲み、服をはいだり殴ったりした。ハサンの友人が折りから礼拝に出席していた警官をに頼み込み、ようやくこの騒ぎは収まった。
《普段はおとなしいインドネシア人でも、このようにすぐに熱くなるのでご注意を》
《ラジオ》FMを流していたら交通ニュースをやっていて、その裏にはデモ隊が何かを叫んでいましたが、どこからの実況中継か、何を叫んでいたのかは聞き落としました。
《考察》
「数千人の大学生がデモ」が同日数箇所でおきたという記事があるが、そんなにたくさんの大学生が一つの大学にいるのだろうかという疑問が生じる。手元に統計資料がないので推定してみた。インドネシアのような人為的な影響が少ない国における人口構成はその1/3が15歳未満の若年人口である。すると、2.5億÷3=8千万人。これを出生年別に分けると 8千万人÷15=五百万人である。大学への進学率を5%とすると 五百万x 5% = 二万五千人。ジャワ島の人口はインドネシアの全人口の半分だから、大学生の数は 二万五千人/ 2 * 4 年間=五万人となる。ジャカルタにその1/3が集中していると仮定すると、大学生の総数は一万七千人となる。そのうち1/4がデモに参加しているとすると、参加者は四千人にしかならないという結論に達する。
新聞報道では数千人の大学生が同日同時刻に数箇所でデモを行なったと言っている。三千人が四個所で集会を開いたということになると、必要人員は合計一万二千人ということになってしまう。
ということは、@この計算中で仮定した係数が間違えているのか、Aデモ隊の中に大学生以外が沢山混じっているのか、B新聞報道でのデモ参加者数が過剰なのか。ということになる。
《余談》 最近ガジャマダ大学を卒業した同僚の話では、インドネシア大学やバンドン工科大学生の親たちは上流層が多いのに対して、同大学の学生たちの親は中低所得者層が多いため、自分たちの学資もままならない状況に追い込まれている。従って社会の変化に対して過敏にならざるをえず、社会低層の人たちの生活困窮問題にも共感し易い傾向があると言っている。(終)
1998/5/03
5/03のポスコタより 《》内は度欲の意見
(0) 「政治(社会)改革は2003年より後でなければならないというのは正しくない」という大統領の声明として通知を政府は出した。
《大統領が直接テレビに出ないのはどういう訳だ》
(1) 軍の政治社会部長が「社会改革は危険がたくさんある」と演説。
大衆の中で燃え続けている政治(社会)改革(reformasi)の要求は、本当に1998年度の国家の大方針(GBHN=Garis Besar Haluan Negara)の精神と既に軌を一にしていると軍の政治社会部長(Kassospol)はCilangkapの総司令部での講演の席上語った。政治面の改革では、例えば有権者の意識を向上させることや、経済面では贈収賄・縁故・血縁関係の汚職の追放を含めたパンチャシラ経済システムを重視すること、法務の面では強固でしっかりした、民主主義の元手の構成を目標とした法律システムの確立を目的とする、と語った。さらに、政府も我々も社会改革の要求を受け入れたくないとは思っていないが、変革と改新を希望することは、健全で安定したダイナミックな国家の安定ということから派生する安全に直接影響する。とも語った。
(2) ジャカルタで大学生と警備側との衝突で数十人の犠牲者が路上で発生。
5/02の広域デモで、大学生側では39人の、警備側では26人の負傷者が発生した。ラワンマングンの教育大学、ヤルシ、外国語大学では、一斉威嚇射撃、催涙ガス、投石などの応酬があった。この行動の際に、政府が2003年から始める社会改革について「長すぎる」と抗議した。東ジャカルタでは、言論の自由を広めるためにジャカルタ教育大学、ボロブドゥール大学、アッサフィヤ大学、ジャヤバヤ大学、イブヌゥ・シャドゥン大学、インドネシアキリスト教大学、スワダヤ大学(STIE)、ウンプタントラール大学からの数千人の大学生はジャカルタ教育大学のキャンパスに集結した。バリケードを構築した数十人の警備陣は道路に出ようとした学生を押しと止めることはできなかった。若者たちは道路いっぱいの500mの長さになり、徒歩でエールを叫びながら行進した。この行動は主婦を主とした住民たちから賛同を受けた。一方ジャカルタ警察本部副本部長は、連続射撃がデモ参加者を蹴散らすのに役立ったと語った。このデモで35人の大学生と12人の警備側が負傷。「警備側の過剰行動は遺憾である」と教育大学生代表は語った。グナダルマ大学、ジャカルタキリスト教大学、インドネシアキリスト教大学のデモ隊がインドネシア大学のデモ隊と合流しようと、外国語大学生の代表が警備側に許可を求めにいったが、その答えは頭部の出血であった。大学生は押しつ押し戻されつもみ合いになった。警備側との交渉の結果、合流はできなくなった。 第111高校から数十人の高校生が臨席した自由演台では、インドネシア大学の社会学教授は「大学生の闘争は現在の民衆の悩みと合致している。おまえたち、民衆の輝きとしてやることはなにか」と述べた。南ジャカルタでは直ちに社会改革を実行するよう要求するデモを行なった。アルクルアン大学、ムハマディア大学、IAIN大学の学生たちがポンドック・ラブゥのUPN(毎日前を通っているのに正式名称は不明)に集結した。同時に、ナショナル大学、IISIP、パンチャシラ大学生が集まり、レンテンアグン付近の交通が麻痺した。ここでポスコタ紙カメラマンのカメラが取り上げられフィルムを抜かれて返された。サトヤアガマ大学でも150人が集会を行なった。
《昨日は、その前に比べてずいぶん警備側の負傷者の比率が高いですね。》
(3) 石油燃料の値上げから低所得者たちを守れ。
「石油燃料と電気代の値上げは避けて通れないが、その時期と値上げ率については未決定」と鉱山エネルギー相は語った。これらには政府補助がついているがそれが巨額なため政府は値上げを避けられない状況にある。石油燃料の値上げは交通費の増額、食料品価格の上昇など生活の基礎となっている全ての分野に影響する。
(4) タンゲランの繊維工場の台湾女性管理職を追放要求
HamSumTexの労働者が数百人集まり、賃金未払いへの抗議行動がタンゲランで発生した。同時に利己的でどうしようもない台湾人女性管理職を台湾に追放することも要求した。この女性、シ嬢は、意味もなく怒鳴り散らしたり労働者達から反感を買っていた。この女性との衝突は従業員のほぼ全員が言っていることである。本誌の記者がインタビューを試みたが、社長に拒絶された。この賃金未払いはタンゲランでは先週だけで四番目。この前には水曜日にPT Rukun Tripilarが1500人と、PT Interworld
Steel Mills Indonesiaで 350人を巻き込んだのを始め、
木曜日にはPT Masterina で1600を巻き込んだ。一方ジャカルタでは、PT
Fafo Partindo Garmenが金曜日から土曜日にかけて100から200人を巻き込んだ。この抗議行動にはカリデレス警察が警備にあたっている。
《どこの国でも、人の心を分からない、愛情のひとかけらもない人がいて、こういう人たちは人間関係から本社にまずいられなくなるので、現地法人に左遷されます。このような「左遷組」が起こした事件だとも言えます。二十年間以上にわたる私の海外体験からでは、「客観的に見て」日本人より中国人の方に他民族蔑視の傾向が強いように思われます。私は中国人を蔑視していませんが。》
(5) 街頭楽士(町でギターを弾いてお金を貰う人たち)、物乞い、悪人が交差点に溢れている。路上での生活はますます困難になってきている。通貨危機の影響をもろに受けているこの人たちにインタビューした。
東ジャカルタのプロマス交差点にいる23歳のギター弾きピピンはこう語る。「物価が上がったと感じると一日の稼ぎも少なくなる」運転手付きの赤いホンダアコードの後部席に座ってネクタイをした若い男性に「通貨危機って何ですか」と尋ねたところ、ただ薄笑いを投げかえされただけだったと語る。ピピンの小学校時代の同級生のインディアントロも同じような悩みを抱えている。彼は闇で自動車の窓拭きをしている。「以前はRp500(\10)くれたんだけど、今では全然くれなくなった」と、午後二時までの収入はRp300(\6)だけ。町のたばこ売りも彼らの同列に入ってしまう。「何でも上がって、今ではネクタイをした人でも少ししか買わなくなった。以前は一日5から7箱は売れたんだが、今じゃ二箱を売り切るのも難しい」とハンドコ(18歳)はこぼす。たばこの売上金を食料に回してしまうので、資金が底を突いている。彼らは来月も仕事ができるのだろうか。
「もしみんな物乞いだったらどうすりゃいいんだ。じいさんの物乞いだっているしぃ」とオカマのオリエはいう。通貨危機ではない原因、サービスに満足しなかったスケベ男が、高速で走る車からオリエを放り出した後遺症で、オリエは鼻が曲がり、左首の傷がふさがったとともに首が左に傾いでしまった。かれらは経済の重圧をますます感じてきている。「毎月Rp35,000(\700)の店賃を払わなくちゃならない」と三人の子供を持つアチョクの言葉であった。大きい二人は学校を止めさせて物乞いをさせることにしている。三才の末っ子はいっしょに物乞いの練習を始めた。おかみさんは洗濯婦として働いている。オリエのオカマ仲間のエンダンは「この人たちが集まる場所はここの四つ辻と決まっているのよ」と言う。実入りがないので分けてあげるお恵みもないから、皆の結束もできない。「毎日知らない誰かがここに流れ込んでくる」とアチョクは語る。プロマス四つ辻の「いとこ」である。アチョクや彼の仲間たちの話では、新参者が強盗や暴行をやるのだ。「本当は、やつらはここに住みたいわけじゃなく、ただここで大金を手に入れたいだけなんだ」と続ける。「毎日の糧を見つけることで奴等を追っ払う考えなんて浮かばないよ」とマカサル出身のこの人は言っている。「悲しいかな、道端で恐れるものがなくなったというような『人間の権威』なるものもなくしてしまった。最大の恐怖は空腹だ。とどのつまり時々子供たちもいっしょに強盗しなくちゃならなくなる。嫌になっちゃうよ、まったく。道端の生活はどんどん厳しくなっていくんだ」と話してくれた。《このような人たちの人権を守るためにはどうしたら良いのでしょうか。東南アジアでもっとも通貨危機の影響が大きいインドネシアのジャカルタから》
《学校では人権問題に格好良いことを言って良い点を貰えても、このような貧民窟で実際に自分の一生を下層の人たちにささげることができるマザーテレサのような強固な意志を持つ人は、日本人からは出ないのでしょうか?少なくとも僕にはその決断力がありません》
1998/5/04
よろずインドネシアへの投稿
ガソリン代が明日5/05午前0時をもってRp700→Rp1,200に値上げされます。
現在15:00、クバヨランバルーのガソリンスタンドはどこも長蛇の列です。今から出かけても数時間待たされた挙げ句、HABISになりそうですから、慌てて出かけないことをお勧めします。
ガソリン代の値上げにともない、石油代やガス代が値上がりするでしょうし、さらにバス代や食料品の値段にも大きく影響を与えます。
先週末の大学生のデモが一段落したあとは、イブイブたちの「おしゃもじ」デモが盛んになるのではないかと推測します。裏でイブイブに操られているインドネシア社会はさらに混迷の度を深めていくのではないかと心配しています。
1998/5/05
時事通信ニュース速報
=商店街に投石−インドネシア=
【ジャカルタ5日時事】学生デモが過激化し、社会不安が拡大しているインドネシア北スマトラ州の州都メダンで四日夜から五日朝にかけ、燃料価格や公共交通料金の値上げに怒った市民数百人が暴徒化し、商店街に投石するなど暴れた。
目撃者などによると、暴徒はショッピングセンターに投石を繰り返し、一部で略奪を働いたほか、パトカーを含む車両九台に放火した。この騒ぎで、約百人が身柄を拘束され、多数が負傷したもよう。五日は治安部隊が市内全域で警戒に当たり、平穏を保っているが、ほとんどの商店は店を閉めている。
メダンの在留邦人約八十人に被害はなかったが、現地の日本総領事館は騒ぎのあった場所に近づかないよう通達を出した。インドネシア政府は四日、燃料やバス、国鉄の運賃を五日から大幅に引き上げると発表。住民の反発が強まっており、全国で緊張が高まっている。
[1998-05-05-18:10]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ5日共同】ガソリン代や交通運賃などが大幅値上げされたインドネシアの北スマトラ州メダンで四日夜、値上げ反対のデモ行進をしていた数千人の市民や学生が暴徒化、警察車両や家屋などに放火した。目撃者によると、五日午後も暴動は続いており、負傷者も出ているもよう。国軍は兵士数百人を出動させ、鎮圧に乗り出した。
同国ではことし一月から二月にかけて、通貨ルピアの暴落による物価高騰などを背景に、ジャワ島を中心に各地で暴動が頻発。その後沈静化していたが、今回の大幅値上げをきっかけに今後、各地で暴動が再燃する恐れも出てきた。
人権擁護団体「法律援護協会」メダン事務所長などによると、暴動が起きたのは四日午後八時半(日本時間同日午後十時半)ごろ。デモ中の学生の一部が警官隊と小競り合いとなったのをきっかけに、市民らが警察車両や交番を襲った。その後、大部分が暴徒化し、車両数十台のほかデパートや家屋に放火するなどした。ガソリンスタンドが放火されたとの情報もある。 同事務所長は五日昼「暴動はまだ続いており、けが人もいるようだ。暴動を聞きつけメダン周辺から人が集まる動きもある」と語った。
インドネシア政府は四日、財政再建に向けた補助金支出削減を目的にガソリン代やバス・鉄道などの運賃を五日から大幅値上げすると発表した。発表が突然だったことに加え、上げ幅が最大二倍と大きかったため、低所得層を中心に動揺が広がっている。
[1998-05-05-17:43]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ4日共同】インドネシア政府は四日、ガソリン代や電気料金、バス・鉄道などの公共交通機関の運賃を五日から大幅に値上げすると発表した。国際通貨基金(IMF)と四月に合意した財政再建計画に沿って、政府の補助金を削減するのが狙い。
しかし、今回の値上げが長引く経済危機に苦しむ市民生活を直撃するのは必至で、低所得者層などを中心に反発や混乱が起きる恐れがある。
発表によると、ガソリン代は現在一リットル当たり七百ルピア(約十一円)を千二百ルピアと約七○%の大幅値上げ。灯油も同二百八十ルピアが二五%値上げの三百五十ルピアになる。また、バスが五○―六七%、鉄道は最高約二倍となる。
電気料金は五月分料金から基本料金を平均約二○%値上げし、さらに八月と十一月にもそれぞれ二○%値上げするという。クントロ鉱業エネルギー相は発表で「政府は現在、燃料費に約十六兆ルピア、電気料金に約十一兆ルピアもの補助金を支出している。(値上げは)国民の大きな負担となるが、これが最善の選択肢だ」と語り、財政再建に向け必要な措置であることを強調した。
インドネシア政府は、四月にIMFと合意した経済構造改革計画で、各種の補助金を段階的に削減し、今年十月をめどに撤廃する方針を確認していたが、これまで値上げ幅や時期は明確にしていなかった。
[1998-05-05-09:43]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ4日共同】アンタラ通信によると四日、インドネシアの中スラウェシ州パルにあるタドゥラコ大学など二大学で、学生が州庁舎に抗議のデモをしようとして治安部隊と衝突。学生の投石に対し当局は催涙ガス弾などを放ち、学生約三十人、兵士二人が負傷した。
これに先立ちインドネシア国軍のウィラント司令官は同日、スハルト大統領と会談後、学生の反政府行動に対し「無政府状態を引き起こすような行動には、容赦ない措置を取るよう全軍団に命令した」と警告した。
学生の政治改革要求が高まる中で、政府は四日にガソリンなど燃料や電気料金の大幅値上げを発表、市民の反発が学生運動と結び付き混乱が予想されるため、あらためて学生の動きをけん制したとみられる。
タドゥラコ大学のほか、北スマトラ州メダンにある教育大学では、市民も加わり約三千人規模の集会を開いた後、街頭デモに入ろうとして、阻止した治安部隊とぶつかり、投石で兵士一人がけがをした。
ジャカルタ西部のムルチュブアナ大学では、学生約五百人が政治改革を訴える集会を開いた。
[1998-05-05-09:41]
時事通信ニュース速報
=各地で暴動やデモ−インドネシア=
【ジャカルタ5日時事】国際通貨基金(IMF)との合意を受け五日から燃料価格や公共交通機関の運賃が値上げされたインドネシアでは、各地で抗議する住民による暴動や学生デモが頻発し負
傷者が続出する事態になっている。
学生デモが過激化し社会不安が拡大しているインドネシア北スマトラ州の州都メダンでは、四日夜から五日朝にかけ値上げに怒った市民数百人が暴徒化し、商店街に投石するなど暴れた。
目撃者によると、暴徒はショッピングセンターに投石を繰り返し、一部で略奪を働いたほかパトカーを含む車両九台に放火。約百人が身柄を拘束された。五日はほとんどの商店は店を閉め、治安部隊が市内全域で警戒。メダンの日本総領事館は約八十人の在留邦人に対し、騒ぎのあった場所に近付かないよう通達を出した。
一方、ジャカルタのムルチュブアナ大学では、値上げの見直しを求め、学生約五千人がキャンパス前の路上でデモを行った。これに対し、鎮圧に当たった治安部隊がゴム弾や催涙弾を発砲し、学生十八人が負傷。学生も投石で応戦し、車両四台が破壊された。
[1998-05-05-21:03]
時事通信ニュース速報
【シンガポール5日時事】五日のシンガポール外国為替市場で、インドネシア・ルピアは動意薄の中、一ドル=八○五○ルピア(前日は同八○○○ルピア)と小幅安で終わった。国際通貨基金(IMF)からの同国向け第二次金融支援が理事会で承認されたが、市場は織り込み済みとして反応薄だった。また、インドネシア政府が同日から燃料・電力料金を値上げしたことで社会不安が広がるとの懸念も台頭したが、市場のドル買い意欲が低迷していることもあって、大きなルピア売りもなかった。[1998-05-05-19:16]
5/05のポスコタからです。
(1)一面トップは石油燃料、電気料金、公共交通料金の値上げの話題。
昨夜は安いうちにガソリンを入れておこうとする人たちが路上で順番待ちをしたため、道路が大混雑した。石油燃料の新旧小売り価格は次の通り。自動車用ガソリン700→1200、灯油280→350、自動車用軽油380→600、航空機ガソリン(Avgas)420→600、ジェット燃料(Avtur)420→600、AB重油(?)(MinyakDiesel)360→500、C重油(?)(Minyak Bakar)240→350。
公共交通料金の新料金は次の通り。
市内バス:500、パタス:撤廃、ミクロ:600、タクシーとパタスAC:事業者と協議の上決定、中長距離バス:30/km、
鉄道39/km、電車(KRL)27.5/km
学生:100。バス料金が上がったことで、市民たちは「ワシラはハサンするのを待つばかりだ」と語る。《バス代は70%の値上げ、鉄道は100%の値上げとなっている》
この値上げは、石油燃料と電気料金への政府補助額がそれぞれ16.17兆、11.37兆ルピアに達し、政府補助が財政的に困難なため。ちなみにインドネシアの国家予算は140兆ルピアである。
(2)ハルモコ総裁が大学構内での社会改革への抗議行動を、社会的、民族的国家的人生を純化する意味があると、肯定的に評価した。
「インドネシア全土のキャンパスで起こった、特に経済と政治、法務分野での改革に関する要求行動は国民評議会(DPR)や政府の関心を得たからである」と語った。《ついに政府側も折れ始めたか?》
(3)ジャカルタ圏学生連絡会から人権委員会への訴えによると、5/2のデモで81名が重軽傷、5人が行方不明になっている。
(4)少なくとも40人のメダンの教育大学生がメダン教育大学で警備側と衝突。中高生をまじえた数千人のデモ隊は言論の自由を主張して、数百人の警備側のブロックを突破した。十数人の学生が負傷した。自動車が数台焼かれた。《メダンはジャカルタよりもずっと激しいですね。今度はジャカルタからメダンとスラバヤに飛び火する可能性も高い》
5)チビトゥンのトッパン・サンプルナ・インドネシア社で、人事部長が従業員に殴られて赤あざになった。人事部長のウィトノ35歳は顔を殴られただけではなく殺すと脅された。これは昨日の5月の給与支払い直後に発生した。これは前月までに支払った奨励金分を今月の給与から差し引く方式に変更したため、500人の従業員が怒ったもの。この会社はトッパン印刷の現地合弁会社。
1998/5/06
時事通信ニュース速報
=燃料費値上げに反発強まる=
【ジャカルタ6日時事】燃料価格や公共交通料金が引き上げられたインドネシアでは、四日夜に北スマトラ州メダンで値上げに怒った住民が商店を襲ったのに続き、五日にはジャワ島中部ジョクジャカルタで学生と治安部隊が衝突。不満の高まりから、騒ぎの拡大が懸念されている。住民の間では、厳しい経済情勢の中で犠牲になるのは常に自分たちだとの意識が根強く、政府の施策に反発が強まっている。
ジョクジャカルタでは、五日午後から住民が街頭に繰り出し、タイヤを燃やしたりして暴れた。このため、治安部隊が出動し、いったん収まったものの、深夜になって再び住民が暴徒化し、信号機や公衆電話を破壊したり、車両に放火した。人権団体の法律扶助協会によると、この騒ぎで五十人が身柄を拘束され、三十人が行方不明になった。 一方、メダンでは、六日も車両への放火や商店への略奪が相次いだ。市内各地で治安部隊が暴徒を追い回し、散発的に威嚇発砲している。目撃者によると、頭などを撃たれた四人が病院に担ぎ込まれたという。
インドネシア政府が燃料価格の引き上げに踏み切ったのは、国際通貨基金(IMF)による支援条件の一つである燃料補助金削減の実行のためだ。しかし、同国の消費者物価は今年に入り急上昇。今回の措置により、物価がさらに上昇するのは確実で、国民が不満のはけ口として、今後も暴動や略奪などの暴力行為に訴える可能性は大いにある。
値上げされた燃料のうち、特に住民の生活に影響を及ぼしているのが灯油だ。貧困層は、比較的低価格の灯油に大きく依存している。今回の値上げでは、ガソリンが七一%引き上げられたのに対し、灯油はリットル当たり二百八十ルピア(約四・五円)から三百五十ルピア(約五・六円)と二五%の値上げに抑えられた。ところが、便乗値上げに踏み切る商店も現れ、メダンの住民は「商店は灯油を売り惜しみし、売ってもリットル当たり八百ルピアから千ルピアの値をつけている」と不満をぶちまけている。
[1998-05-06-20:37]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ6日共同】インドネシアのジャワ島中部、ジョクジャカルタで五日、学生デモが市民を
巻き込んだ暴動にエスカレート、同日夜から六日朝にかけて華人系商店などが襲撃された。
ジャワ島での大規模暴動は約三カ月ぶりで、スマトラ島メダンで断続的に続く暴動も三日目に入った。根強い政治不信と経済危機を背景に、公共料金の突然の大幅値上げをきっかけに始まった暴動は、各地に広がる動きを見せている。
人権擁護団体「法律援護協会」のジョクジャカルタ事務所などによると、いくつかの大学から参加した学生グループは「スハルト大統領打倒」などと訴えながら街頭デモを強行、一部が路上でタイヤを燃やした。
これをきっかけに一般市民を含め約一万人が暴徒化し、華人系商店を襲ったり、公衆電話を破壊するなどした。混乱の中、報道関係者や赤十字の車なども破壊されたという。
警官や軍兵士多数が出動し、催涙ガスや威嚇射撃などで鎮圧を試みたが、暴動は六日午前五時ごろまで続き、十二人ほどが負傷した。逮捕者の数は不明。ジョクジャカルタ市内は五日夜に停電となり、同事務所関係者は「暗やみの中で暴動が続き、まるで戦争のようだった」と語った。
四日に暴動が始まったメダンでは六日も華人系商店などが襲われ、地元警察によると、これまでに計約百六十人が逮捕、拘束された。日本大使館メダン総領事館によると、六日は市内にある商店の約九割が休業している。
[1998-05-06-17:20]
5/06のポスコタより
(1) 乗客新料金を拒否、バス運休。石油燃料値上げに伴う新料金に怒った乗客が小型バス(angkot
& Mikrolet)の料金不払いを起こしたため、これらの数千台のバスが運休した。小児と学生料金は据え置かれたたため、これらのバスが乗車拒否を起こすことが考えられ、軍用トラックで学生たちの輸送を計画している。《大衆のことを配慮してか?政府は打つ手がないようだ》
(2) メダンが煮えたぎっている。メダン市で数千人の群集が理性を失い、数十軒の商店と自動車、オートバイなどを燃やし、華人(WNI keturunan)商店から強奪を行なった。この行為は市の周辺部から始まり中心部まで達した。月曜日晩に発生したこの社会不安は11歳の子供まで焼き殺すことになってしまった。ブアナプラザショッピングセンターも投石の的となり、大きく破壊された。《やはりジャカルタよりメダンが燃えている。これは、この地域の部族の民族性によるものもあるが、「反ジャワ」という意識も底流にある。ここ十年以上にわたってメダンにはジャワからの移民が流れ込んできている。》
(3) 石油燃料と電気代の値上げが引き金になり、大学生の社会改革の要求がさらに燃え上がっている。それに伴い、警備側との衝突が増えている。メルチュ・ブアナ大学の前では、警察の少佐が大学生に殴られ左大腿部に内傷を負いズボンを破かれた。この衝突で12人の大学生がゴム弾で負傷。16人の職員も負傷し数台の自動車が焼かれた。《他にもデモのニュースはあったが割愛する。》
(4) 二人の大学生が社会改革の要求を政府が受け入れるまでハンストを行なっている。
(5) 「社会改革」は大衆の願いであるとハルモコは語った。《ハルおじさんは最近妙な発言が多い》
(6) 数千人の売春婦が街頭で営業している。ジャカルタ市社会部発表のデータでは、以前2,670人となっていた売春婦がさらに260人増えた。増えた分は概して16歳の少女で、平均の料金はRp125,000とのこと。彼女らはほとんどジャカルタ以外の出身。通貨基金が始まって以来、赤線地帯のKramat Tunggakではあいている家が無いほどになった。この地帯では1800人が270軒に住んで営業している。出身地の内訳は、西ジャワ1093人、中部ジャワ356人、東ジャワ238人、ジョグジャ5人、ジャカルタ26人、残りはジャワ島以外。《ここにも経済危機が影を落としています。AIDSの危険があるのでご注意を!》
1998/5/07
時事通信ニュース速報
【ジャカルタ7日時事】インドネシアのウィラント国軍司令官兼国防治安相は七日、記者会見し、学生の要求する改革は既に、政府の検討事項に含まれていると述べ、抗議行動を中止するよう要請
した。 同司令官はこの中で、学生が掲げている政治・経済改革は国軍も支持していると指摘。デモを行う必要はないとの見解を示す一方、改革は憲法に沿って徐々に実行すべきだと語った。
一方、メダンの騒動について「これはデモではなく暴動だ。このため、わたしは法にのっとって断固とした措置を取るよう指示している」と強調、暴力行為を厳しく取り締まる方針を明確にした。
[1998-05-07-21:40]
時事通信ニュース速報
【ジャカルタ7日時事】インドネシアのスハルト大統領は七日、外国メディアはインドネシアの悪いニュースを「大げさに報じ過ぎる」と述べ、外国報道機関を批判した。同大統領は、外国の新聞社
やテレビ局が経済危機などインドネシアの負の側面を強調し過ぎるため、国際社会における同国の信用を傷つけていると語った。
[1998-05-07-21:01]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ7日共同】暴動の再燃で社会不安が増大するインドネシアで、四日に暴動が発生以来、散発的に商店襲撃が続いていたスマトラ島メダンの騒ぎは七日午後までに、ほぼ沈静化した。
しかし、自動小銃を手にした治安部隊が装甲車でパトロール、市内一帯を制圧したが、襲撃事件の再発を恐れ商店のほとんどが店を閉じるなど、依然として緊張した空気に包まれている。
メダンの地元紙ワスパダは、一連の暴動で六人が死亡、うち一人は治安当局による発砲によるものと報じている。
スハルト大統領は七日、ジャカルタでの会合で「外国のマスコミは、インドネシアの至る所で暴動が起きているように誇張して報道している」と批判した。
メダンからの情報によると、六日夜から七日朝にかけて、市内東部に集中する華人商店の一部が暴徒に襲われ商品が略奪される事件が散発的に続いたが、治安部隊が増強され、七日午後まで
に騒ぎはほぼ静まった。メダンを離れてジャカルタなどに避難する華人の家族も急増している。
一方、五日から六日にかけ暴動が起きたジョクジャカルタも七日、平静さを取り戻した。市内の数大学で学生集会が予定されていたが、当局の強硬姿勢を配慮してか取りやめたところが多かっ
た。
1998-05-07-19:20]
平成10年5月7日
総領事館からのお知らせ 総98第12号
今週初めより、北スマトラ州のメダン市において、暴動が発生しておりますところ、ジャカルタ在住の邦人におかれても、ここしばらくはメダンへの不急不要の訪問は控えられることをお勧め致します。
また、燃料、公共料金等の引き上げに伴い、今後経済情勢が困難さを増すことも考えられますところ、以前から各地で続いている学生デモが激しさを増す可能性や、メダン以外の地方でも暴動が起こる可能性も排除されません。邦人の皆様におかれては、一層の注意を払われるようお願い致します。
大使館・総領事館代表電話番号:021−324308
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平成10年5月1日
総領事館からのお知らせ 総98第11号
1.最近、国内の多くの都市の大学構内を中心に、学生デモが行われています。一部の大学では、構外へ出ようとする学生とそれを抑えようとする治安当局との間で衝突が発生し、負傷者が生じる事件も起きています。
2.当館が得ている情報では、明日(5月2日)、ジャカルタ市内の数カ所の大学を中心に、大規模な学生デモが行われる可能性があります。その際、一部の学生は、大学構外でのデモ活動を行うことも検討している趣です。
つきましては、外出される際には、大学キャンパス及びその周辺(大学近くのバス・ターミナル等人出の多いところを含む)に近づかない等の注意を払われるようお願い致します。
大使館・総領事館代表電話番号:021−324308
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平成10年4月29日
総領事館からのお知らせ 総98第10号
1.インドネシア保健省の発表によれば、昨年11月より本年4月17日までにデング熱の感染者数は12,072名(うち死亡者397名)で、感染者発生地域は西ジャワ州、南スマトラ州、南・北・中部・南東スラウェシ州、ジャンビ州、
東チムール州、西ヌサトンガラ州、マルク州、ジャカルタ首都特別州です。
2.ジャカルタ首都特別州保健局の発表によれば、4月9日同州内5つの行政区において、デング熱の媒介となる蚊の発生場所に対する殺虫剤の大量噴霧を行いました。また、今後要請があれば、どの地域においても即日、殺虫剤噴霧を実施する由です。
なお同局の発表によればジャカルタにおける感染者の感染場所の内訳は、学校31.5%、家屋30.5%、公共の場所27.6%であり、感染者の年齢別の内訳は5歳から14歳までが46.1%、15歳から45歳までが35.5%となっています。
デング熱は、病原菌ウイルスを持っている熱帯縞蚊又は一筋縞蚊に刺されることによって感染しますが、予防薬はありませんので、蚊に刺されないようにすることが肝心です。感染すると突然の発熱、激しい頭痛、眼球深部に痛み、関節や筋肉痛、発疹が現れ、回復期に疲労感と鬱状態が続きます、死亡率は高くありませんが、小児が感染した場合のデング熱については治療しないとショックを起こしやすく死亡率も40ー50%になります、いずれにしろ、軽視しないで適切な治療を受けることが大事です。
以上
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5/07のポスコタより
1.昨日、国防大臣ファイサルタンジュンは、大学生の抗議行動がキャンパスの外で行われない限り、軍はそれを禁止しないと語った。しかし、キャンパス外で法律に抵触する行動を取ったら、取り締まりを行なう。《だんだん軍も腰を引いてきたようだ》
2.メダンで大暴動、数百件の商店を破壊。メダン郊外の暴動は引き続き発生している。水曜の晩も、メダンから30km離れたプナンポガン市場が数百人の暴徒によって全焼した。出自不明の暴徒達はルブクパカムも焼くという行動に出た。この影響でたくさんの商店が営業を取りやめている。暴動に参加した者は華人商店を略奪している。ルブクパカムのショッピングセンターは全く麻痺状態である。ポスコタの連絡員によると、この暴動は、石油燃料の値上げが引き金になったとのこと。《出自不明なのはsetan gundulの仕業か?》
3.庶民の足のKopajaとMetrominは今月いっぱい持ちこたえられれば良い。新料金では経営が成り立たないので来月は倒産するみこみである。この大きな理由は、学生料金のRp100にある。《ジャカルタ南部のangkotはこの料金では学生にたいして乗車拒否を行なっているとのこと》
4.16名の大学生が国家人権委員会に、5/02のデモで81人の犠牲者が出たことを5/05に提訴した。
5.国立ファトマワティ病院の調べではデング熱は峠を越した模様。
6.通貨危機の影響で、ブカシの売春婦が激増している。《「二号さん」で食っていた女性たちが、旦那の収入現象に伴い離婚されて、食い扶持を探しているためか。》
7.メダンのスタジアムのフ゜ロサッカー試合で投石などの暴動が発生した。《メダンのおまわりさん達も大変である》
8.過日誘拐されて現在亡命中のピウスラナンを米国議会で証言させるために召喚すると、インドネシア人権協会のパスカ・イリヤント副理事長が記者会見で発表した。この証言は5/07木曜日現地時間12:30に行われる予定。
1998/5/08
共同通信ニュース速報
【ジョクジャカルタ8日共同】五日から六日にかけて一万人規模の暴動が起きたインドネシア・ジャワ島中部のジョクジャカルタで、政治改革を求めるデモ隊が暴徒化したことに、学生の間で動揺が広がっている。市民のデモ参加は支持の広がりを示す半面、統制のとれない群衆を生んで重軽傷四十人以上という事態を引き起こしたからだ。
一部の大学では八、九両日もデモを実行する予定だが、学生幹部は「軍に本格介入の口実を与えることになる」と、参加者に自制を呼び掛ける方針だ。
学生や市民らの話によると、当初数百人規模で始まった学生デモに別グループや一般市民が合流し、行進するうちに数が膨らんだ。
高校生や主婦など幅広い層がデモに参加したが、失業者や犯罪者もおり、簡単に暴徒化。「単なる不満爆発の場に利用された」(学生)側面があるという。
政府は「学生運動は無政府状態化している」と非難、国軍司令官は七日「(暴動には)断固たる措置を取る」と警告した。
これに対し学生らは「われわれが望むのは平和的な政権委譲」「挑発したのは治安当局側」などと強調する。
全国有数の学生運動の拠点でもあるガジャマダ大の学生組織幹部は「軍は常に介入の機会を狙っている。しかし、市民参加は学生運動への支持表明でもあり、排除はできない」と、対策に苦慮している様子だ。
[1998-05-08-08:14]
5/08のポスコタより
(1) ウィラント司令官は、木曜日に、つい最近大学生が目指してもえている社会改革に関して軍内部の意見をまとめるためのティームを近いうちに編成すると語った。《失踪者調査といえこの件といえ、ABRIは一体どうしたの?》
(2) ジャカルタ−ボゴール街道三時間にわたり数千人の大学生デモ隊と警備側の衝突のために閉鎖さる。ジャカルタとその他の都市で、石油燃料と電気料金の値上げに抗議するデモが行われた。帰宅する数千人のジャカルタ・ボゴール住民たちはこのために約三時間立ち往生させられた。ジャヤバヤ大学の工学部で始まったこの抗議行動は昼まで続き、昼の礼拝はそれぞれ道路際で行なわれた。道路に礼拝の声が満ち、最初は見ていただけの近隣住民も礼拝に加わるようになった。昼の礼拝が終わった後、大学生と近隣住民は社会改革のエールを叫びながら道路を行進し、デポックのグナダルマ大学に向かった。警備側は威嚇射撃を行ない、デモ隊は四散した。この事件で大学生13人が負傷し、ボゴール街道は三時間にわたって閉鎖された。その他にはラワマングンの教育大学、スマラン市のディポネゴロ大学、バンドン、バニュマス、パダン、パレンバンなどで数千の大学生が警備側と衝突した。《「軟弱」ウンディップ生もやっと立ち上がったようだ》
(3) スマトラのパダン・シアンタール両市で暴動が発生した。《この両市での暴動発生はこのところはじめての情報》パダン市では七万五千人のデモが発生し、longmarchと投石などを行なってディスコティックを破壊し酒を放り出した。デモの参加者は、大学生のみならず、高校生中学生に混じって一般大衆まで含まれていた。
(4) 一時$1=Rp10,000に達した。その後、値を戻した。
1998/5/09
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ9日共同】公共料金の大幅値上げをきっかけに社会不安が高まっているインドネシアで、暴動やデモの頻発に国会議員らが危機感を募らせ、スハルト大統領に従順なはずの与党議員から事実上の「内閣不信任」発言が飛び出すなど、政権内で不協和音が起きている。
地元紙などによると、八日に開かれた国会の貿易やエネルギー問題などに関する委員会で、与党ゴルカルのプリオ議員は「値上げが撤回されなければ国民の痛みを和らげることはできない」と政府を強く非難。
「撤回できなければ、われわれ議員か内閣が総辞職すべきだ」と事実上の「不信任案」を突き付けた。
国会議席の八割近くを占めるゴルカルは、スハルト政権の強力な後ろ盾。普段なら政府決定を承認するだけの審議はこの日、午前九時から深夜十一時まで続いた。
野党議員も「政府は銀行救済には巨額資金を支出しながら、大多数の国民に影響がある補助金支出を削った」などと批判し、責任追及の大合唱となった。
政府側のクントロ鉱業エネルギー相は、値上げ政策決定で事前に議会の理解を得なかったことは謝罪したが、撤回については「わたしの一存では返答できない。大統領に伝える」と逃げの姿勢に終始した。
政策決定の最高責任者であるスハルト大統領は、発展途上国の十五カ国グループ首脳会議出席のためカイロへ出発する直前の九日午前、「決定は考慮の結果」と撤回の考えがないことを強調。通貨ルピアの再下落傾向やデモ頻発などの現状が変わる兆候はなく「このままでは国は破滅に向かう」(国会副議長)との危機感は高まるばかりだ。
[1998-05-09-18:23]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ9日共同】公共料金の大幅値上げをきっかけに社会不安が増大しているインドネシアでは、国家体制のかなめを自任する国軍が暴動やデモに対する取り締まりを強化している。九日にはスハルト大統領がカイロで開かれる発展途上国の十五カ国グループ(G15)首脳会議出席のためインドネシアを離れる予定で、留守を守る国軍は威信をかけ治安維持に懸命だ。
四日の暴動発生以来、国軍は商店略奪などが最も激しかったスマトラ島メダンに軍最高責任者であるウィラント司令官自らが出向き、現状を視察。精鋭部隊の陸軍戦略予備軍も派遣するなど、沈静化にほぼ成功した。
同司令官は、各地の暴動の引き金となった学生デモについても「学生運動の域を超えた」と警告。首都ジャカルタでは八日、政治改革などを求め国会前に座り込んだ学生約三百人を治安部隊が拘束するなど、締め付けを強めている。
しかし、交通運賃の最大二倍値上げなど市民生活の苦しさは増す一方で、通貨ルピアも再び下落傾向にあり、国民の根深い不満は解消されていない。「兵士も生活苦にあえぐ国民の一人。現状への思いは同じ」(学生運動幹部)という状況で、国軍の強硬策が逆効果を招くことを懸念する声も上がっている。
[1998-05-09-10:58]これは、一応の目安です。その点ご承知おきください。「君子危うきに近寄らず」です。
1998/5/02
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ1日共同】インドネシアのスハルト大統領は一日、与野党三党の党首と閣僚を集めた会合で、国民各層から要求が出ている政治改革について、任期中に取り組む意思がないことを初めて明確に伝えた。
インドネシアでは、三月のスハルト大統領七選後、政治改革を求める声が急速に拡大。連日、各地の大学で民主化を訴えるデモや集会が活発に開かれており、学生らの大統領退陣に向けた抗議行動の激化が予想される。
ハルトノ内相によると、大統領は会合で正副大統領選出のため三月に開かれた国権の最高機関、国民協議会が大統領の任期が終わる二○○三年までの国家大綱を決めたことに触れ「国民は既に指針を持っている。政治改革の要求があるなら二○○三年に向け準備をしたらよい」と述べた。
与野党党首と閣僚を集めた会合が開かれたのは、スハルト大統領が就任した一九六八年以来。ジャカルタの外交筋は「学生や市民の要求にいらだった大統領が、政治改革問題を国会の論議に発展させないよう先手を打った」とみている。
北スマトラ州メダンからの情報によると、一日メダンのイスラム大学では、スハルト大統領退陣を求める学生約五百人がタイヤを燃やしたり治安部隊に投石、治安部隊側は催涙ガスや放水車を使い鎮圧した。このほか、バリ島デンパサールのワルマデワ大学で約千人が集会を開き、南スラウェシ州のウジュンパンダン教育・工科大学で五百人がデモをした。
[1998-05-02-08:11]
共同通信ニュース速報
ジャカルタ2日共同】政治の民主化を要求する学生の抗議行動が続くインドネシアで二日、スハルト大統領が政治改革に取り組む意思のないことを一日明言したことに学生が猛反発、各地の大学で大統領の退陣などを求めるデモや集会が行われた。 ジャカルタの国立インドネシア大のキャンパスでは、学生や教職員約三千人が集まり「今すぐ政治改革に取り組め。スハルト大統領の任期が終わる二○○三年まで改革を待てというのか」と口々に訴えた。治安当局はキャンパス周辺に機動隊約五百人のほか、首都師団の兵士や狙撃部隊を配置し厳戒態勢を敷いている。
学生を支持する市民約二千人がキャンパスを取り囲んで見守る一方で、当局も次々と兵士を増派、一触即発の緊張状態となっている。
首都ではまた、ジャカルタ教育大で学生数百人が集会を開いた後、インドネシア大学での集会に合流しようと学外に出たところで機動隊と衝突、学生数人が負傷した。
[1998-05-02-20:17]
時事通信ニュース速報
=政治改革への消極姿勢に反発=
【ジャカルタ2日時事】インドネシア各地では同国の「教育の日」に当たる二日、大学構内やその周辺などで学生による激しい反政府デモが繰り広げられた。学生らは、スハルト大統領が一日に政治改革は二○○三年まで行わないと言明したことに強く反発しており、デモがさらに激化することも予想される。
このうち北スマトラ州メダンでは、ノマンセン大学の学生がキャンパス前で古タイヤに火をつけたり、大統領の三男が経営する自動車メーカーが製造した乗用車を付近のショールームから引っ張り出して放火した。また、聖トマス・カトリック大学でも学生が大統領の退陣を求めて座り込んだ。
一方、ジャカルタでは、外国語大学で治安部隊が催涙弾を発射して四人が病院に運ばれ、教育大学でも七人が負傷した。さらに、スラバヤやバンドン、ジョクジャカルタなどジャワ島の主要都市でも政治改革の断行を求める学生デモが行われた。
[1998-05-02-19:55]
時事通信ニュース速報
=「たたり」と住民震え上がる=
【ジャカルタ2日時事】インドネシアのスラウェシ島で、大蛇が大人の男性をのみ込む事件があった。被害者は以前、蛇を二匹殺したことがあり、住民は「蛇のたたりだ」と震え上がっている。
被害に遭ったのは、南スラウェシ州北部に住む農民のバントゥさん(三五)。地元紙によると、妻と農作業をしていたバントゥさんは、妻だけを自宅に帰し、一人で畑に残った。ところが、翌朝になっても戻らず、心配した妻が畑に隣接する森を捜索。バントゥさんが愛用していたナタや帽子、靴とともに、血痕が見つかった。
血痕をたどると、薮の中で巨大な蛇が動いているのを発見。村人約二十人が駆けつけて蛇を捕まえ、首を切り落とした。蛇は体長五・七五メートルで、体重は推定二百キロ。腹を割くと、中から服を着たままのバントゥさんの死体が現れた。額に二カ所、かまれた跡があったものの、体はほぼ完全な状態だったという。
[1998-05-02-08:02]
5/02のポスコタから
【註】《》内は投稿者の意見。
(1) 2003年以降なら政治改革をやってもよい。
ハルトノ内務相の発言を引用した形で、同内相と副大統領が同席した国会議長との懇親会の席上、「社会改革を禁止している訳ではないが2003年より後にすべきだ」と大統領は語った。《大統領はなんか弱気になってきましたね。自分の任期中だけ安泰なら良いということか》
(2) IMF以外に世銀から六億ドルの追加。
「来週月曜日のIMFの決定次第だが」と世銀アジア大洋州担当副総裁のデニストレイが語った。彼によれば援助総額は十億ドルに達するとのこと。IMFと世銀以外にはアジ銀が緊急援助をすることになっている。
(3) 石油燃料(BBM)の値上げは国会に相談済。
BBMと電気料金の値上げは既に国会のグループ(fraksi)代表に相談済である。5/03の国会のコミシVで最終決定がなされ直ちに公布されるだろうと鉱山エネルギー相が語った。《この値上げでイブイブたちが怒って立ち上がる機会になるかもしれない。》
(4) 公共輸送機関の運賃値上げは来週から。二倍にはならないことは確実。本件はだいぶ前から国会に諮っていた。運転費用とスペアパーツの価格上昇がBBM価格上昇に影響を及ぼし、維持費を押し上げているので、運賃値上げは避け難いと、陸上交通大臣が語った。
(5) ABRI(軍)が失踪者捜索チームを編成済。
チームの編成員はSjamsu D准将, Marwan
Fariz警察准将で、この事件に巻き込まれた各軍の事情を精査するとウィラント司令官は語った。《この面々がどちらの側か不明なので、「おざなり」なのか「積極的」なのかなんとも言えない》
(6) ジャヤバヤ、ジャカルタ教育大学生がlong march。
金曜日の朝、数千人のジャヤバヤ、ジャカルタ教育大学生が発言の自由を要求してビラを撒きながら路上を二時間long marchした。このため道路交通は麻痺状態に陥った。1200人のこの両大学生はIKIP(教育大学)で合流して二時間の抗議集会を開いた。その一時間後、国会議事堂を目指して道路に出ようとしたところ数十人の警備側ともみ合いになり、結局警備陣を突破してJl.Pemudaに出た。ここで数千人の大学生は東西に二手に分かれて道路を行進した。
(7) メダンでは数十軒の商店と自動車が破壊される。
北スマトラでは社会不安に陥った数百人のノメンセンとUISU大学生がデモ。数十軒の下駄履き住宅(Ruko)と数台の自動車を投石で破壊した。警察のオートバイも一台焼かれた。
(8) 亜民東ティモール問題でヒヤリングされることにでHuman
Right Caucusに失望。
「前もってこの問題に関し公式会議でヒヤリングが行われる事を知らされていなかったことは残念だ。はっきり言って何の準備もしていない。東ティモール問題で証言を求められるとは今朝まで全く知らなかった。これは以前に連絡されていた問題とは違う。」と亜民は語った。《アメリカは汚いやり方をしますね。これは亜民を蹴落とそうとするイ政府側の陰謀かも》
(9) 大学生のデモは、モラルとエチケットにのっとり実行して欲しいとジャカルタ警察本部長がかたった。ここ数週間で彼の部下の数人が重傷を負っているとも白状した。
《「家族を抱えた部下たちが負傷するのはもうカンベンしてくれ」といったところか。業務上の死傷者については手厚い保護を与えることになっているので、軍も経済的に苦しいのかもしれない。》
(10) 約150人の鉱山労働者がボゴールから18台のバスに分乗して、警察庁本部にデモ。ボゴール警察に収監されている三人の鉱山労働者を釈放するように要求した。この三人は、爆発物を使って山の石を爆破したことで逮捕されたもの。《このあたりは、ジャカルタ市内の建設資材の石取りと、セメント材料の石灰岩が多いことで有名》
(11) スマランで若者たちの50団体が州議会事務所にデモをかけ、45年憲法とパンチャシラの実施、「新政策」政治への引責を要求した。《スマランの学生はまだ甘い。だからジャカルタ大学生から口紅やブラジャーを送り付けられるのだ。》
(12) 学生たちは虫よけローションを使うように。
学齢期の子供たちの46%がデング熱に感染している。各自が虫除けローションを使うようにと健康省が提案している。《医者に尋ねないと病名を教えてくれないので、発熱しても風邪なのかデング熱なのか不明》
(13) 刺青のオートバイ泥棒があざだらけにされた。
こいつ「ハサン」は、タンゲランで金曜日の昼に、金曜礼拝を装ってモスクに入り、礼拝が終わる直前に抜けだそうとした。この動きに疑惑を抱いた礼拝者が「どろぼー」と叫んだため、マスジッドの外にいた礼拝者たちが取り押さえた。他の礼拝者たちもハサンを取り囲み、服をはいだり殴ったりした。ハサンの友人が折りから礼拝に出席していた警官をに頼み込み、ようやくこの騒ぎは収まった。
《普段はおとなしいインドネシア人でも、このようにすぐに熱くなるのでご注意を》
《ラジオ》FMを流していたら交通ニュースをやっていて、その裏にはデモ隊が何かを叫んでいましたが、どこからの実況中継か、何を叫んでいたのかは聞き落としました。
《考察》
「数千人の大学生がデモ」が同日数箇所でおきたという記事があるが、そんなにたくさんの大学生が一つの大学にいるのだろうかという疑問が生じる。手元に統計資料がないので推定してみた。インドネシアのような人為的な影響が少ない国における人口構成はその1/3が15歳未満の若年人口である。すると、2.5億÷3=8千万人。これを出生年別に分けると 8千万人÷15=五百万人である。大学への進学率を5%とすると 五百万x 5% = 二万五千人。ジャワ島の人口はインドネシアの全人口の半分だから、大学生の数は 二万五千人/ 2 * 4 年間=五万人となる。ジャカルタにその1/3が集中していると仮定すると、大学生の総数は一万七千人となる。そのうち1/4がデモに参加しているとすると、参加者は四千人にしかならないという結論に達する。
新聞報道では数千人の大学生が同日同時刻に数箇所でデモを行なったと言っている。三千人が四個所で集会を開いたということになると、必要人員は合計一万二千人ということになってしまう。
ということは、@この計算中で仮定した係数が間違えているのか、Aデモ隊の中に大学生以外が沢山混じっているのか、B新聞報道でのデモ参加者数が過剰なのか。ということになる。
《余談》 最近ガジャマダ大学を卒業した同僚の話では、インドネシア大学やバンドン工科大学生の親たちは上流層が多いのに対して、同大学の学生たちの親は中低所得者層が多いため、自分たちの学資もままならない状況に追い込まれている。従って社会の変化に対して過敏にならざるをえず、社会低層の人たちの生活困窮問題にも共感し易い傾向があると言っている。(終)
1998/5/03
5/03のポスコタより 《》内は度欲の意見
(0) 「政治(社会)改革は2003年より後でなければならないというのは正しくない」という大統領の声明として通知を政府は出した。
《大統領が直接テレビに出ないのはどういう訳だ》
(1) 軍の政治社会部長が「社会改革は危険がたくさんある」と演説。
大衆の中で燃え続けている政治(社会)改革(reformasi)の要求は、本当に1998年度の国家の大方針(GBHN=Garis Besar Haluan Negara)の精神と既に軌を一にしていると軍の政治社会部長(Kassospol)はCilangkapの総司令部での講演の席上語った。政治面の改革では、例えば有権者の意識を向上させることや、経済面では贈収賄・縁故・血縁関係の汚職の追放を含めたパンチャシラ経済システムを重視すること、法務の面では強固でしっかりした、民主主義の元手の構成を目標とした法律システムの確立を目的とする、と語った。さらに、政府も我々も社会改革の要求を受け入れたくないとは思っていないが、変革と改新を希望することは、健全で安定したダイナミックな国家の安定ということから派生する安全に直接影響する。とも語った。
(2) ジャカルタで大学生と警備側との衝突で数十人の犠牲者が路上で発生。
5/02の広域デモで、大学生側では39人の、警備側では26人の負傷者が発生した。ラワンマングンの教育大学、ヤルシ、外国語大学では、一斉威嚇射撃、催涙ガス、投石などの応酬があった。この行動の際に、政府が2003年から始める社会改革について「長すぎる」と抗議した。東ジャカルタでは、言論の自由を広めるためにジャカルタ教育大学、ボロブドゥール大学、アッサフィヤ大学、ジャヤバヤ大学、イブヌゥ・シャドゥン大学、インドネシアキリスト教大学、スワダヤ大学(STIE)、ウンプタントラール大学からの数千人の大学生はジャカルタ教育大学のキャンパスに集結した。バリケードを構築した数十人の警備陣は道路に出ようとした学生を押しと止めることはできなかった。若者たちは道路いっぱいの500mの長さになり、徒歩でエールを叫びながら行進した。この行動は主婦を主とした住民たちから賛同を受けた。一方ジャカルタ警察本部副本部長は、連続射撃がデモ参加者を蹴散らすのに役立ったと語った。このデモで35人の大学生と12人の警備側が負傷。「警備側の過剰行動は遺憾である」と教育大学生代表は語った。グナダルマ大学、ジャカルタキリスト教大学、インドネシアキリスト教大学のデモ隊がインドネシア大学のデモ隊と合流しようと、外国語大学生の代表が警備側に許可を求めにいったが、その答えは頭部の出血であった。大学生は押しつ押し戻されつもみ合いになった。警備側との交渉の結果、合流はできなくなった。 第111高校から数十人の高校生が臨席した自由演台では、インドネシア大学の社会学教授は「大学生の闘争は現在の民衆の悩みと合致している。おまえたち、民衆の輝きとしてやることはなにか」と述べた。南ジャカルタでは直ちに社会改革を実行するよう要求するデモを行なった。アルクルアン大学、ムハマディア大学、IAIN大学の学生たちがポンドック・ラブゥのUPN(毎日前を通っているのに正式名称は不明)に集結した。同時に、ナショナル大学、IISIP、パンチャシラ大学生が集まり、レンテンアグン付近の交通が麻痺した。ここでポスコタ紙カメラマンのカメラが取り上げられフィルムを抜かれて返された。サトヤアガマ大学でも150人が集会を行なった。
《昨日は、その前に比べてずいぶん警備側の負傷者の比率が高いですね。》
(3) 石油燃料の値上げから低所得者たちを守れ。
「石油燃料と電気代の値上げは避けて通れないが、その時期と値上げ率については未決定」と鉱山エネルギー相は語った。これらには政府補助がついているがそれが巨額なため政府は値上げを避けられない状況にある。石油燃料の値上げは交通費の増額、食料品価格の上昇など生活の基礎となっている全ての分野に影響する。
(4) タンゲランの繊維工場の台湾女性管理職を追放要求
HamSumTexの労働者が数百人集まり、賃金未払いへの抗議行動がタンゲランで発生した。同時に利己的でどうしようもない台湾人女性管理職を台湾に追放することも要求した。この女性、シ嬢は、意味もなく怒鳴り散らしたり労働者達から反感を買っていた。この女性との衝突は従業員のほぼ全員が言っていることである。本誌の記者がインタビューを試みたが、社長に拒絶された。この賃金未払いはタンゲランでは先週だけで四番目。この前には水曜日にPT Rukun Tripilarが1500人と、PT Interworld
Steel Mills Indonesiaで 350人を巻き込んだのを始め、
木曜日にはPT Masterina で1600を巻き込んだ。一方ジャカルタでは、PT
Fafo Partindo Garmenが金曜日から土曜日にかけて100から200人を巻き込んだ。この抗議行動にはカリデレス警察が警備にあたっている。
《どこの国でも、人の心を分からない、愛情のひとかけらもない人がいて、こういう人たちは人間関係から本社にまずいられなくなるので、現地法人に左遷されます。このような「左遷組」が起こした事件だとも言えます。二十年間以上にわたる私の海外体験からでは、「客観的に見て」日本人より中国人の方に他民族蔑視の傾向が強いように思われます。私は中国人を蔑視していませんが。》
(5) 街頭楽士(町でギターを弾いてお金を貰う人たち)、物乞い、悪人が交差点に溢れている。路上での生活はますます困難になってきている。通貨危機の影響をもろに受けているこの人たちにインタビューした。
東ジャカルタのプロマス交差点にいる23歳のギター弾きピピンはこう語る。「物価が上がったと感じると一日の稼ぎも少なくなる」運転手付きの赤いホンダアコードの後部席に座ってネクタイをした若い男性に「通貨危機って何ですか」と尋ねたところ、ただ薄笑いを投げかえされただけだったと語る。ピピンの小学校時代の同級生のインディアントロも同じような悩みを抱えている。彼は闇で自動車の窓拭きをしている。「以前はRp500(\10)くれたんだけど、今では全然くれなくなった」と、午後二時までの収入はRp300(\6)だけ。町のたばこ売りも彼らの同列に入ってしまう。「何でも上がって、今ではネクタイをした人でも少ししか買わなくなった。以前は一日5から7箱は売れたんだが、今じゃ二箱を売り切るのも難しい」とハンドコ(18歳)はこぼす。たばこの売上金を食料に回してしまうので、資金が底を突いている。彼らは来月も仕事ができるのだろうか。
「もしみんな物乞いだったらどうすりゃいいんだ。じいさんの物乞いだっているしぃ」とオカマのオリエはいう。通貨危機ではない原因、サービスに満足しなかったスケベ男が、高速で走る車からオリエを放り出した後遺症で、オリエは鼻が曲がり、左首の傷がふさがったとともに首が左に傾いでしまった。かれらは経済の重圧をますます感じてきている。「毎月Rp35,000(\700)の店賃を払わなくちゃならない」と三人の子供を持つアチョクの言葉であった。大きい二人は学校を止めさせて物乞いをさせることにしている。三才の末っ子はいっしょに物乞いの練習を始めた。おかみさんは洗濯婦として働いている。オリエのオカマ仲間のエンダンは「この人たちが集まる場所はここの四つ辻と決まっているのよ」と言う。実入りがないので分けてあげるお恵みもないから、皆の結束もできない。「毎日知らない誰かがここに流れ込んでくる」とアチョクは語る。プロマス四つ辻の「いとこ」である。アチョクや彼の仲間たちの話では、新参者が強盗や暴行をやるのだ。「本当は、やつらはここに住みたいわけじゃなく、ただここで大金を手に入れたいだけなんだ」と続ける。「毎日の糧を見つけることで奴等を追っ払う考えなんて浮かばないよ」とマカサル出身のこの人は言っている。「悲しいかな、道端で恐れるものがなくなったというような『人間の権威』なるものもなくしてしまった。最大の恐怖は空腹だ。とどのつまり時々子供たちもいっしょに強盗しなくちゃならなくなる。嫌になっちゃうよ、まったく。道端の生活はどんどん厳しくなっていくんだ」と話してくれた。《このような人たちの人権を守るためにはどうしたら良いのでしょうか。東南アジアでもっとも通貨危機の影響が大きいインドネシアのジャカルタから》
《学校では人権問題に格好良いことを言って良い点を貰えても、このような貧民窟で実際に自分の一生を下層の人たちにささげることができるマザーテレサのような強固な意志を持つ人は、日本人からは出ないのでしょうか?少なくとも僕にはその決断力がありません》
1998/5/04
よろずインドネシアへの投稿
ガソリン代が明日5/05午前0時をもってRp700→Rp1,200に値上げされます。
現在15:00、クバヨランバルーのガソリンスタンドはどこも長蛇の列です。今から出かけても数時間待たされた挙げ句、HABISになりそうですから、慌てて出かけないことをお勧めします。
ガソリン代の値上げにともない、石油代やガス代が値上がりするでしょうし、さらにバス代や食料品の値段にも大きく影響を与えます。
先週末の大学生のデモが一段落したあとは、イブイブたちの「おしゃもじ」デモが盛んになるのではないかと推測します。裏でイブイブに操られているインドネシア社会はさらに混迷の度を深めていくのではないかと心配しています。
1998/5/05
時事通信ニュース速報
=商店街に投石−インドネシア=
【ジャカルタ5日時事】学生デモが過激化し、社会不安が拡大しているインドネシア北スマトラ州の州都メダンで四日夜から五日朝にかけ、燃料価格や公共交通料金の値上げに怒った市民数百人が暴徒化し、商店街に投石するなど暴れた。
目撃者などによると、暴徒はショッピングセンターに投石を繰り返し、一部で略奪を働いたほか、パトカーを含む車両九台に放火した。この騒ぎで、約百人が身柄を拘束され、多数が負傷したもよう。五日は治安部隊が市内全域で警戒に当たり、平穏を保っているが、ほとんどの商店は店を閉めている。
メダンの在留邦人約八十人に被害はなかったが、現地の日本総領事館は騒ぎのあった場所に近づかないよう通達を出した。インドネシア政府は四日、燃料やバス、国鉄の運賃を五日から大幅に引き上げると発表。住民の反発が強まっており、全国で緊張が高まっている。
[1998-05-05-18:10]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ5日共同】ガソリン代や交通運賃などが大幅値上げされたインドネシアの北スマトラ州メダンで四日夜、値上げ反対のデモ行進をしていた数千人の市民や学生が暴徒化、警察車両や家屋などに放火した。目撃者によると、五日午後も暴動は続いており、負傷者も出ているもよう。国軍は兵士数百人を出動させ、鎮圧に乗り出した。
同国ではことし一月から二月にかけて、通貨ルピアの暴落による物価高騰などを背景に、ジャワ島を中心に各地で暴動が頻発。その後沈静化していたが、今回の大幅値上げをきっかけに今後、各地で暴動が再燃する恐れも出てきた。
人権擁護団体「法律援護協会」メダン事務所長などによると、暴動が起きたのは四日午後八時半(日本時間同日午後十時半)ごろ。デモ中の学生の一部が警官隊と小競り合いとなったのをきっかけに、市民らが警察車両や交番を襲った。その後、大部分が暴徒化し、車両数十台のほかデパートや家屋に放火するなどした。ガソリンスタンドが放火されたとの情報もある。 同事務所長は五日昼「暴動はまだ続いており、けが人もいるようだ。暴動を聞きつけメダン周辺から人が集まる動きもある」と語った。
インドネシア政府は四日、財政再建に向けた補助金支出削減を目的にガソリン代やバス・鉄道などの運賃を五日から大幅値上げすると発表した。発表が突然だったことに加え、上げ幅が最大二倍と大きかったため、低所得層を中心に動揺が広がっている。
[1998-05-05-17:43]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ4日共同】インドネシア政府は四日、ガソリン代や電気料金、バス・鉄道などの公共交通機関の運賃を五日から大幅に値上げすると発表した。国際通貨基金(IMF)と四月に合意した財政再建計画に沿って、政府の補助金を削減するのが狙い。
しかし、今回の値上げが長引く経済危機に苦しむ市民生活を直撃するのは必至で、低所得者層などを中心に反発や混乱が起きる恐れがある。
発表によると、ガソリン代は現在一リットル当たり七百ルピア(約十一円)を千二百ルピアと約七○%の大幅値上げ。灯油も同二百八十ルピアが二五%値上げの三百五十ルピアになる。また、バスが五○―六七%、鉄道は最高約二倍となる。
電気料金は五月分料金から基本料金を平均約二○%値上げし、さらに八月と十一月にもそれぞれ二○%値上げするという。クントロ鉱業エネルギー相は発表で「政府は現在、燃料費に約十六兆ルピア、電気料金に約十一兆ルピアもの補助金を支出している。(値上げは)国民の大きな負担となるが、これが最善の選択肢だ」と語り、財政再建に向け必要な措置であることを強調した。
インドネシア政府は、四月にIMFと合意した経済構造改革計画で、各種の補助金を段階的に削減し、今年十月をめどに撤廃する方針を確認していたが、これまで値上げ幅や時期は明確にしていなかった。
[1998-05-05-09:43]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ4日共同】アンタラ通信によると四日、インドネシアの中スラウェシ州パルにあるタドゥラコ大学など二大学で、学生が州庁舎に抗議のデモをしようとして治安部隊と衝突。学生の投石に対し当局は催涙ガス弾などを放ち、学生約三十人、兵士二人が負傷した。
これに先立ちインドネシア国軍のウィラント司令官は同日、スハルト大統領と会談後、学生の反政府行動に対し「無政府状態を引き起こすような行動には、容赦ない措置を取るよう全軍団に命令した」と警告した。
学生の政治改革要求が高まる中で、政府は四日にガソリンなど燃料や電気料金の大幅値上げを発表、市民の反発が学生運動と結び付き混乱が予想されるため、あらためて学生の動きをけん制したとみられる。
タドゥラコ大学のほか、北スマトラ州メダンにある教育大学では、市民も加わり約三千人規模の集会を開いた後、街頭デモに入ろうとして、阻止した治安部隊とぶつかり、投石で兵士一人がけがをした。
ジャカルタ西部のムルチュブアナ大学では、学生約五百人が政治改革を訴える集会を開いた。
[1998-05-05-09:41]
時事通信ニュース速報
=各地で暴動やデモ−インドネシア=
【ジャカルタ5日時事】国際通貨基金(IMF)との合意を受け五日から燃料価格や公共交通機関の運賃が値上げされたインドネシアでは、各地で抗議する住民による暴動や学生デモが頻発し負
傷者が続出する事態になっている。
学生デモが過激化し社会不安が拡大しているインドネシア北スマトラ州の州都メダンでは、四日夜から五日朝にかけ値上げに怒った市民数百人が暴徒化し、商店街に投石するなど暴れた。
目撃者によると、暴徒はショッピングセンターに投石を繰り返し、一部で略奪を働いたほかパトカーを含む車両九台に放火。約百人が身柄を拘束された。五日はほとんどの商店は店を閉め、治安部隊が市内全域で警戒。メダンの日本総領事館は約八十人の在留邦人に対し、騒ぎのあった場所に近付かないよう通達を出した。
一方、ジャカルタのムルチュブアナ大学では、値上げの見直しを求め、学生約五千人がキャンパス前の路上でデモを行った。これに対し、鎮圧に当たった治安部隊がゴム弾や催涙弾を発砲し、学生十八人が負傷。学生も投石で応戦し、車両四台が破壊された。
[1998-05-05-21:03]
時事通信ニュース速報
【シンガポール5日時事】五日のシンガポール外国為替市場で、インドネシア・ルピアは動意薄の中、一ドル=八○五○ルピア(前日は同八○○○ルピア)と小幅安で終わった。国際通貨基金(IMF)からの同国向け第二次金融支援が理事会で承認されたが、市場は織り込み済みとして反応薄だった。また、インドネシア政府が同日から燃料・電力料金を値上げしたことで社会不安が広がるとの懸念も台頭したが、市場のドル買い意欲が低迷していることもあって、大きなルピア売りもなかった。[1998-05-05-19:16]
5/05のポスコタからです。
(1)一面トップは石油燃料、電気料金、公共交通料金の値上げの話題。
昨夜は安いうちにガソリンを入れておこうとする人たちが路上で順番待ちをしたため、道路が大混雑した。石油燃料の新旧小売り価格は次の通り。自動車用ガソリン700→1200、灯油280→350、自動車用軽油380→600、航空機ガソリン(Avgas)420→600、ジェット燃料(Avtur)420→600、AB重油(?)(MinyakDiesel)360→500、C重油(?)(Minyak Bakar)240→350。
公共交通料金の新料金は次の通り。
市内バス:500、パタス:撤廃、ミクロ:600、タクシーとパタスAC:事業者と協議の上決定、中長距離バス:30/km、
鉄道39/km、電車(KRL)27.5/km
学生:100。バス料金が上がったことで、市民たちは「ワシラはハサンするのを待つばかりだ」と語る。《バス代は70%の値上げ、鉄道は100%の値上げとなっている》
この値上げは、石油燃料と電気料金への政府補助額がそれぞれ16.17兆、11.37兆ルピアに達し、政府補助が財政的に困難なため。ちなみにインドネシアの国家予算は140兆ルピアである。
(2)ハルモコ総裁が大学構内での社会改革への抗議行動を、社会的、民族的国家的人生を純化する意味があると、肯定的に評価した。
「インドネシア全土のキャンパスで起こった、特に経済と政治、法務分野での改革に関する要求行動は国民評議会(DPR)や政府の関心を得たからである」と語った。《ついに政府側も折れ始めたか?》
(3)ジャカルタ圏学生連絡会から人権委員会への訴えによると、5/2のデモで81名が重軽傷、5人が行方不明になっている。
(4)少なくとも40人のメダンの教育大学生がメダン教育大学で警備側と衝突。中高生をまじえた数千人のデモ隊は言論の自由を主張して、数百人の警備側のブロックを突破した。十数人の学生が負傷した。自動車が数台焼かれた。《メダンはジャカルタよりもずっと激しいですね。今度はジャカルタからメダンとスラバヤに飛び火する可能性も高い》
5)チビトゥンのトッパン・サンプルナ・インドネシア社で、人事部長が従業員に殴られて赤あざになった。人事部長のウィトノ35歳は顔を殴られただけではなく殺すと脅された。これは昨日の5月の給与支払い直後に発生した。これは前月までに支払った奨励金分を今月の給与から差し引く方式に変更したため、500人の従業員が怒ったもの。この会社はトッパン印刷の現地合弁会社。
1998/5/06
時事通信ニュース速報
=燃料費値上げに反発強まる=
【ジャカルタ6日時事】燃料価格や公共交通料金が引き上げられたインドネシアでは、四日夜に北スマトラ州メダンで値上げに怒った住民が商店を襲ったのに続き、五日にはジャワ島中部ジョクジャカルタで学生と治安部隊が衝突。不満の高まりから、騒ぎの拡大が懸念されている。住民の間では、厳しい経済情勢の中で犠牲になるのは常に自分たちだとの意識が根強く、政府の施策に反発が強まっている。
ジョクジャカルタでは、五日午後から住民が街頭に繰り出し、タイヤを燃やしたりして暴れた。このため、治安部隊が出動し、いったん収まったものの、深夜になって再び住民が暴徒化し、信号機や公衆電話を破壊したり、車両に放火した。人権団体の法律扶助協会によると、この騒ぎで五十人が身柄を拘束され、三十人が行方不明になった。 一方、メダンでは、六日も車両への放火や商店への略奪が相次いだ。市内各地で治安部隊が暴徒を追い回し、散発的に威嚇発砲している。目撃者によると、頭などを撃たれた四人が病院に担ぎ込まれたという。
インドネシア政府が燃料価格の引き上げに踏み切ったのは、国際通貨基金(IMF)による支援条件の一つである燃料補助金削減の実行のためだ。しかし、同国の消費者物価は今年に入り急上昇。今回の措置により、物価がさらに上昇するのは確実で、国民が不満のはけ口として、今後も暴動や略奪などの暴力行為に訴える可能性は大いにある。
値上げされた燃料のうち、特に住民の生活に影響を及ぼしているのが灯油だ。貧困層は、比較的低価格の灯油に大きく依存している。今回の値上げでは、ガソリンが七一%引き上げられたのに対し、灯油はリットル当たり二百八十ルピア(約四・五円)から三百五十ルピア(約五・六円)と二五%の値上げに抑えられた。ところが、便乗値上げに踏み切る商店も現れ、メダンの住民は「商店は灯油を売り惜しみし、売ってもリットル当たり八百ルピアから千ルピアの値をつけている」と不満をぶちまけている。
[1998-05-06-20:37]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ6日共同】インドネシアのジャワ島中部、ジョクジャカルタで五日、学生デモが市民を
巻き込んだ暴動にエスカレート、同日夜から六日朝にかけて華人系商店などが襲撃された。
ジャワ島での大規模暴動は約三カ月ぶりで、スマトラ島メダンで断続的に続く暴動も三日目に入った。根強い政治不信と経済危機を背景に、公共料金の突然の大幅値上げをきっかけに始まった暴動は、各地に広がる動きを見せている。
人権擁護団体「法律援護協会」のジョクジャカルタ事務所などによると、いくつかの大学から参加した学生グループは「スハルト大統領打倒」などと訴えながら街頭デモを強行、一部が路上でタイヤを燃やした。
これをきっかけに一般市民を含め約一万人が暴徒化し、華人系商店を襲ったり、公衆電話を破壊するなどした。混乱の中、報道関係者や赤十字の車なども破壊されたという。
警官や軍兵士多数が出動し、催涙ガスや威嚇射撃などで鎮圧を試みたが、暴動は六日午前五時ごろまで続き、十二人ほどが負傷した。逮捕者の数は不明。ジョクジャカルタ市内は五日夜に停電となり、同事務所関係者は「暗やみの中で暴動が続き、まるで戦争のようだった」と語った。
四日に暴動が始まったメダンでは六日も華人系商店などが襲われ、地元警察によると、これまでに計約百六十人が逮捕、拘束された。日本大使館メダン総領事館によると、六日は市内にある商店の約九割が休業している。
[1998-05-06-17:20]
5/06のポスコタより
(1) 乗客新料金を拒否、バス運休。石油燃料値上げに伴う新料金に怒った乗客が小型バス(angkot
& Mikrolet)の料金不払いを起こしたため、これらの数千台のバスが運休した。小児と学生料金は据え置かれたたため、これらのバスが乗車拒否を起こすことが考えられ、軍用トラックで学生たちの輸送を計画している。《大衆のことを配慮してか?政府は打つ手がないようだ》
(2) メダンが煮えたぎっている。メダン市で数千人の群集が理性を失い、数十軒の商店と自動車、オートバイなどを燃やし、華人(WNI keturunan)商店から強奪を行なった。この行為は市の周辺部から始まり中心部まで達した。月曜日晩に発生したこの社会不安は11歳の子供まで焼き殺すことになってしまった。ブアナプラザショッピングセンターも投石の的となり、大きく破壊された。《やはりジャカルタよりメダンが燃えている。これは、この地域の部族の民族性によるものもあるが、「反ジャワ」という意識も底流にある。ここ十年以上にわたってメダンにはジャワからの移民が流れ込んできている。》
(3) 石油燃料と電気代の値上げが引き金になり、大学生の社会改革の要求がさらに燃え上がっている。それに伴い、警備側との衝突が増えている。メルチュ・ブアナ大学の前では、警察の少佐が大学生に殴られ左大腿部に内傷を負いズボンを破かれた。この衝突で12人の大学生がゴム弾で負傷。16人の職員も負傷し数台の自動車が焼かれた。《他にもデモのニュースはあったが割愛する。》
(4) 二人の大学生が社会改革の要求を政府が受け入れるまでハンストを行なっている。
(5) 「社会改革」は大衆の願いであるとハルモコは語った。《ハルおじさんは最近妙な発言が多い》
(6) 数千人の売春婦が街頭で営業している。ジャカルタ市社会部発表のデータでは、以前2,670人となっていた売春婦がさらに260人増えた。増えた分は概して16歳の少女で、平均の料金はRp125,000とのこと。彼女らはほとんどジャカルタ以外の出身。通貨基金が始まって以来、赤線地帯のKramat Tunggakではあいている家が無いほどになった。この地帯では1800人が270軒に住んで営業している。出身地の内訳は、西ジャワ1093人、中部ジャワ356人、東ジャワ238人、ジョグジャ5人、ジャカルタ26人、残りはジャワ島以外。《ここにも経済危機が影を落としています。AIDSの危険があるのでご注意を!》
1998/5/07
時事通信ニュース速報
【ジャカルタ7日時事】インドネシアのウィラント国軍司令官兼国防治安相は七日、記者会見し、学生の要求する改革は既に、政府の検討事項に含まれていると述べ、抗議行動を中止するよう要請
した。 同司令官はこの中で、学生が掲げている政治・経済改革は国軍も支持していると指摘。デモを行う必要はないとの見解を示す一方、改革は憲法に沿って徐々に実行すべきだと語った。
一方、メダンの騒動について「これはデモではなく暴動だ。このため、わたしは法にのっとって断固とした措置を取るよう指示している」と強調、暴力行為を厳しく取り締まる方針を明確にした。
[1998-05-07-21:40]
時事通信ニュース速報
【ジャカルタ7日時事】インドネシアのスハルト大統領は七日、外国メディアはインドネシアの悪いニュースを「大げさに報じ過ぎる」と述べ、外国報道機関を批判した。同大統領は、外国の新聞社
やテレビ局が経済危機などインドネシアの負の側面を強調し過ぎるため、国際社会における同国の信用を傷つけていると語った。
[1998-05-07-21:01]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ7日共同】暴動の再燃で社会不安が増大するインドネシアで、四日に暴動が発生以来、散発的に商店襲撃が続いていたスマトラ島メダンの騒ぎは七日午後までに、ほぼ沈静化した。
しかし、自動小銃を手にした治安部隊が装甲車でパトロール、市内一帯を制圧したが、襲撃事件の再発を恐れ商店のほとんどが店を閉じるなど、依然として緊張した空気に包まれている。
メダンの地元紙ワスパダは、一連の暴動で六人が死亡、うち一人は治安当局による発砲によるものと報じている。
スハルト大統領は七日、ジャカルタでの会合で「外国のマスコミは、インドネシアの至る所で暴動が起きているように誇張して報道している」と批判した。
メダンからの情報によると、六日夜から七日朝にかけて、市内東部に集中する華人商店の一部が暴徒に襲われ商品が略奪される事件が散発的に続いたが、治安部隊が増強され、七日午後まで
に騒ぎはほぼ静まった。メダンを離れてジャカルタなどに避難する華人の家族も急増している。
一方、五日から六日にかけ暴動が起きたジョクジャカルタも七日、平静さを取り戻した。市内の数大学で学生集会が予定されていたが、当局の強硬姿勢を配慮してか取りやめたところが多かっ
た。
1998-05-07-19:20]
平成10年5月7日
総領事館からのお知らせ 総98第12号
今週初めより、北スマトラ州のメダン市において、暴動が発生しておりますところ、ジャカルタ在住の邦人におかれても、ここしばらくはメダンへの不急不要の訪問は控えられることをお勧め致します。
また、燃料、公共料金等の引き上げに伴い、今後経済情勢が困難さを増すことも考えられますところ、以前から各地で続いている学生デモが激しさを増す可能性や、メダン以外の地方でも暴動が起こる可能性も排除されません。邦人の皆様におかれては、一層の注意を払われるようお願い致します。
大使館・総領事館代表電話番号:021−324308
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平成10年5月1日
総領事館からのお知らせ 総98第11号
1.最近、国内の多くの都市の大学構内を中心に、学生デモが行われています。一部の大学では、構外へ出ようとする学生とそれを抑えようとする治安当局との間で衝突が発生し、負傷者が生じる事件も起きています。
2.当館が得ている情報では、明日(5月2日)、ジャカルタ市内の数カ所の大学を中心に、大規模な学生デモが行われる可能性があります。その際、一部の学生は、大学構外でのデモ活動を行うことも検討している趣です。
つきましては、外出される際には、大学キャンパス及びその周辺(大学近くのバス・ターミナル等人出の多いところを含む)に近づかない等の注意を払われるようお願い致します。
大使館・総領事館代表電話番号:021−324308
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平成10年4月29日
総領事館からのお知らせ 総98第10号
1.インドネシア保健省の発表によれば、昨年11月より本年4月17日までにデング熱の感染者数は12,072名(うち死亡者397名)で、感染者発生地域は西ジャワ州、南スマトラ州、南・北・中部・南東スラウェシ州、ジャンビ州、
東チムール州、西ヌサトンガラ州、マルク州、ジャカルタ首都特別州です。
2.ジャカルタ首都特別州保健局の発表によれば、4月9日同州内5つの行政区において、デング熱の媒介となる蚊の発生場所に対する殺虫剤の大量噴霧を行いました。また、今後要請があれば、どの地域においても即日、殺虫剤噴霧を実施する由です。
なお同局の発表によればジャカルタにおける感染者の感染場所の内訳は、学校31.5%、家屋30.5%、公共の場所27.6%であり、感染者の年齢別の内訳は5歳から14歳までが46.1%、15歳から45歳までが35.5%となっています。
デング熱は、病原菌ウイルスを持っている熱帯縞蚊又は一筋縞蚊に刺されることによって感染しますが、予防薬はありませんので、蚊に刺されないようにすることが肝心です。感染すると突然の発熱、激しい頭痛、眼球深部に痛み、関節や筋肉痛、発疹が現れ、回復期に疲労感と鬱状態が続きます、死亡率は高くありませんが、小児が感染した場合のデング熱については治療しないとショックを起こしやすく死亡率も40ー50%になります、いずれにしろ、軽視しないで適切な治療を受けることが大事です。
以上
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5/07のポスコタより
1.昨日、国防大臣ファイサルタンジュンは、大学生の抗議行動がキャンパスの外で行われない限り、軍はそれを禁止しないと語った。しかし、キャンパス外で法律に抵触する行動を取ったら、取り締まりを行なう。《だんだん軍も腰を引いてきたようだ》
2.メダンで大暴動、数百件の商店を破壊。メダン郊外の暴動は引き続き発生している。水曜の晩も、メダンから30km離れたプナンポガン市場が数百人の暴徒によって全焼した。出自不明の暴徒達はルブクパカムも焼くという行動に出た。この影響でたくさんの商店が営業を取りやめている。暴動に参加した者は華人商店を略奪している。ルブクパカムのショッピングセンターは全く麻痺状態である。ポスコタの連絡員によると、この暴動は、石油燃料の値上げが引き金になったとのこと。《出自不明なのはsetan gundulの仕業か?》
3.庶民の足のKopajaとMetrominは今月いっぱい持ちこたえられれば良い。新料金では経営が成り立たないので来月は倒産するみこみである。この大きな理由は、学生料金のRp100にある。《ジャカルタ南部のangkotはこの料金では学生にたいして乗車拒否を行なっているとのこと》
4.16名の大学生が国家人権委員会に、5/02のデモで81人の犠牲者が出たことを5/05に提訴した。
5.国立ファトマワティ病院の調べではデング熱は峠を越した模様。
6.通貨危機の影響で、ブカシの売春婦が激増している。《「二号さん」で食っていた女性たちが、旦那の収入現象に伴い離婚されて、食い扶持を探しているためか。》
7.メダンのスタジアムのフ゜ロサッカー試合で投石などの暴動が発生した。《メダンのおまわりさん達も大変である》
8.過日誘拐されて現在亡命中のピウスラナンを米国議会で証言させるために召喚すると、インドネシア人権協会のパスカ・イリヤント副理事長が記者会見で発表した。この証言は5/07木曜日現地時間12:30に行われる予定。
1998/5/08
共同通信ニュース速報
【ジョクジャカルタ8日共同】五日から六日にかけて一万人規模の暴動が起きたインドネシア・ジャワ島中部のジョクジャカルタで、政治改革を求めるデモ隊が暴徒化したことに、学生の間で動揺が広がっている。市民のデモ参加は支持の広がりを示す半面、統制のとれない群衆を生んで重軽傷四十人以上という事態を引き起こしたからだ。
一部の大学では八、九両日もデモを実行する予定だが、学生幹部は「軍に本格介入の口実を与えることになる」と、参加者に自制を呼び掛ける方針だ。
学生や市民らの話によると、当初数百人規模で始まった学生デモに別グループや一般市民が合流し、行進するうちに数が膨らんだ。
高校生や主婦など幅広い層がデモに参加したが、失業者や犯罪者もおり、簡単に暴徒化。「単なる不満爆発の場に利用された」(学生)側面があるという。
政府は「学生運動は無政府状態化している」と非難、国軍司令官は七日「(暴動には)断固たる措置を取る」と警告した。
これに対し学生らは「われわれが望むのは平和的な政権委譲」「挑発したのは治安当局側」などと強調する。
全国有数の学生運動の拠点でもあるガジャマダ大の学生組織幹部は「軍は常に介入の機会を狙っている。しかし、市民参加は学生運動への支持表明でもあり、排除はできない」と、対策に苦慮している様子だ。
[1998-05-08-08:14]
5/08のポスコタより
(1) ウィラント司令官は、木曜日に、つい最近大学生が目指してもえている社会改革に関して軍内部の意見をまとめるためのティームを近いうちに編成すると語った。《失踪者調査といえこの件といえ、ABRIは一体どうしたの?》
(2) ジャカルタ−ボゴール街道三時間にわたり数千人の大学生デモ隊と警備側の衝突のために閉鎖さる。ジャカルタとその他の都市で、石油燃料と電気料金の値上げに抗議するデモが行われた。帰宅する数千人のジャカルタ・ボゴール住民たちはこのために約三時間立ち往生させられた。ジャヤバヤ大学の工学部で始まったこの抗議行動は昼まで続き、昼の礼拝はそれぞれ道路際で行なわれた。道路に礼拝の声が満ち、最初は見ていただけの近隣住民も礼拝に加わるようになった。昼の礼拝が終わった後、大学生と近隣住民は社会改革のエールを叫びながら道路を行進し、デポックのグナダルマ大学に向かった。警備側は威嚇射撃を行ない、デモ隊は四散した。この事件で大学生13人が負傷し、ボゴール街道は三時間にわたって閉鎖された。その他にはラワマングンの教育大学、スマラン市のディポネゴロ大学、バンドン、バニュマス、パダン、パレンバンなどで数千の大学生が警備側と衝突した。《「軟弱」ウンディップ生もやっと立ち上がったようだ》
(3) スマトラのパダン・シアンタール両市で暴動が発生した。《この両市での暴動発生はこのところはじめての情報》パダン市では七万五千人のデモが発生し、longmarchと投石などを行なってディスコティックを破壊し酒を放り出した。デモの参加者は、大学生のみならず、高校生中学生に混じって一般大衆まで含まれていた。
(4) 一時$1=Rp10,000に達した。その後、値を戻した。
1998/5/09
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ9日共同】公共料金の大幅値上げをきっかけに社会不安が高まっているインドネシアで、暴動やデモの頻発に国会議員らが危機感を募らせ、スハルト大統領に従順なはずの与党議員から事実上の「内閣不信任」発言が飛び出すなど、政権内で不協和音が起きている。
地元紙などによると、八日に開かれた国会の貿易やエネルギー問題などに関する委員会で、与党ゴルカルのプリオ議員は「値上げが撤回されなければ国民の痛みを和らげることはできない」と政府を強く非難。
「撤回できなければ、われわれ議員か内閣が総辞職すべきだ」と事実上の「不信任案」を突き付けた。
国会議席の八割近くを占めるゴルカルは、スハルト政権の強力な後ろ盾。普段なら政府決定を承認するだけの審議はこの日、午前九時から深夜十一時まで続いた。
野党議員も「政府は銀行救済には巨額資金を支出しながら、大多数の国民に影響がある補助金支出を削った」などと批判し、責任追及の大合唱となった。
政府側のクントロ鉱業エネルギー相は、値上げ政策決定で事前に議会の理解を得なかったことは謝罪したが、撤回については「わたしの一存では返答できない。大統領に伝える」と逃げの姿勢に終始した。
政策決定の最高責任者であるスハルト大統領は、発展途上国の十五カ国グループ首脳会議出席のためカイロへ出発する直前の九日午前、「決定は考慮の結果」と撤回の考えがないことを強調。通貨ルピアの再下落傾向やデモ頻発などの現状が変わる兆候はなく「このままでは国は破滅に向かう」(国会副議長)との危機感は高まるばかりだ。
[1998-05-09-18:23]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ9日共同】公共料金の大幅値上げをきっかけに社会不安が増大しているインドネシアでは、国家体制のかなめを自任する国軍が暴動やデモに対する取り締まりを強化している。九日にはスハルト大統領がカイロで開かれる発展途上国の十五カ国グループ(G15)首脳会議出席のためインドネシアを離れる予定で、留守を守る国軍は威信をかけ治安維持に懸命だ。
四日の暴動発生以来、国軍は商店略奪などが最も激しかったスマトラ島メダンに軍最高責任者であるウィラント司令官自らが出向き、現状を視察。精鋭部隊の陸軍戦略予備軍も派遣するなど、沈静化にほぼ成功した。
同司令官は、各地の暴動の引き金となった学生デモについても「学生運動の域を超えた」と警告。首都ジャカルタでは八日、政治改革などを求め国会前に座り込んだ学生約三百人を治安部隊が拘束するなど、締め付けを強めている。
しかし、交通運賃の最大二倍値上げなど市民生活の苦しさは増す一方で、通貨ルピアも再び下落傾向にあり、国民の根深い不満は解消されていない。「兵士も生活苦にあえぐ国民の一人。現状への思いは同じ」(学生運動幹部)という状況で、国軍の強硬策が逆効果を招くことを懸念する声も上がっている。
[1998-05-09-10:58]
共同通信ニュース速報
【ワシントン8日共同】米国防総省当局者は八日、インドネシアの治安情勢悪化を受け、米軍とインドネシア軍が同国内で実施中の共同演習を中止、十七人の米特殊作戦部隊員を沖縄のトリイ基地に引き揚げさせる命令を出したと述べた。
当局者は、この決定は反政府デモがエスカレートしているインドネシアの現情勢下で軍事演習を行うのは適切ではないとの判断によると説明。スハルト政権の強圧的なデモ鎮圧作戦などへの「抗議の表明ではない」と強調した。
また、演習中止措置は参加米兵の保護が目的のほか、インドネシア軍も治安出動などで演習に集中できる状況にないと指摘した。
この共同演習は両軍兵士の訓練とともに、インドネシア軍に「軍事面での人権尊重」を習得させることを目的に実施。今回は今年に入って四回目で、五月一日から始まった。計九十五人の米特殊作戦部隊員が参加する予定で、既に同国入りしていた十七人に引き揚げの命令が出された。
当局者は、今年中にあと六回予定されている演習計画は、情勢を見ながら「ケース・バイ・ケース」で判断すると述べた。
インドネシア軍との共同訓練については、かねてから米議会の一部から強い反対論が出ていた。
[1998-05-09-09:32]
共同通信ニュース速報
【ジャカルタ8日共同】政治改革を求める学生運動や暴動が拡大するインドネシアで八日、首都ジャカルタの国会前にイスラム系大学の学生ら約三百人が民主化などを要求して座り込み、治安当局の解散命令を無視したため、全員が身柄を拘束された。
中ジャワ州ソロでは「三月十一日大学」に集まった学生二千人が街頭デモを強行して治安部隊と衝突、ゴム弾の発砲などで約百三十人が負傷した。
当局はこれまで、国会前での市民らの抗議行動を黙認してきたが、学生運動が全国に拡大、スマトラ島メダンなどの暴動が各地に波及する動きがあることから、大量拘束の強硬方針に転じたとみられる。
国軍のウィラント司令官は七日、メダンで起きた暴動について「もはや学生運動の域を越えている。(商店襲撃や略奪行為は)犯罪であり、断固とした措置を取る」と語り、政府に対する学生らの抗議行動を徹底的に取り締まる姿勢を示していた。
国会前で拘束された学生のほとんどは、各地にあるイスラム大学の学生組織ムハマディヤ学生連合の所属で、イスラム教徒を巻き込んで学生側が抗議行動を激化させる可能性が出てきた。
学生らはスハルト政権批判の横断幕を掲げながら国会前までデモ行進、国権の最高機関である国民協議会を開き、政治改革に取り組むよう訴えながら、座り込みに入った。国会前では八日、約五百人の治安部隊が警戒に当たっていた。
ジャカルタではこの日、ジャカルタ教育大学で、学生がスハルト大統領を汚職、殺人罪などの被告に見立てた模擬裁判「特別国民法廷」を開き、一九六六年当時に大統領が反政府の立場を取る国民の大量殺害を命令、また東ティモール併合に絡んで東ティモール住民数十万人を殺したと追及、死刑の判決を下した。
[1998-05-09-08:07]
事通信ニュース速報
外務省は八日、政府の経済政策に反発して学生や一部市民のデモや暴動が起きているインドネシアへの渡航に改めて「注意喚起」を行い、
1群集の集まる場所に近づかない
2外出中に不測の事態が起きた場合は、ホテルや自宅で待機する−ことなどを呼び掛けた。
同省は、四日から六日にかけて暴動があったメダン以外の地方でも暴動が起きる可能性を指摘している。
[1998-05-09-00:41]
時事通信ニュース速報
=インドネシアの混乱拡大=
【ジャカルタ8日時事】インドネシアのジャワ島中部ソロにある国立「三月十一日大学」で八日、反政府デモを行っていた学生と治安部隊が衝突、学生百人以上が病院に運ばれた。一方、暴動が続いた北スマトラ州メダン周辺では、住民が暴徒化する騒ぎが断続的に起きており、暴動の飛び火に懸念が強まっている。
目撃者によると、三月十一日大学では学生ら約五千人が街頭デモを行おうとしたため、治安部隊と衝突。治安部隊が催涙弾やゴム弾を発砲したのに対し、学生も投石で応じた。地元記者によれば、ソロでは七日にも別の大学で衝突が起きている。
また、メダン近郊のプマタンシアンタルでは七日から八日朝にかけ、公共料金引き上げに怒った住民が商店に投石するなどして暴れた。暴徒は商店に投石を繰り返す一方、乗用車やバイクに放火、一部は商店を略奪した。八日午後になって沈静化したものの、治安部隊が厳重に警戒しており、人通りはほとんどないという。 メダンは七日に続き、八日も平穏が保たれた。しかし、ほとんどの商店は店を閉めたまま。住民の中には暴動の再発を警戒し、自警団を組織する者も現れた。四月末以来、閉鎖されていた国立北スマトラ大学は八日に再開され、学生がデモを行ったが、キャンパス内にとどまり、混乱はなかった。
一方、ジャカルタでは学生約三百人が抗議行動をするために国会に入ろうとし、治安当局に身柄を拘束された。また、教員養成大学ではスハルト大統領の責任を追及する模擬裁判が開かれ、国民を犠牲にして一族や側近に富を集中させたなどとして、「極刑」が言い渡された。
[1998-05-08-21:21]
共同通信ニュース速報
【メダン(インドネシア・スマトラ島)8日共同=横山司】今月四日から三日間続いた住民暴動で死者を出したインドネシア第三の都市メダンは八日、市内全域にわたって商店がシャッターを下ろしたままで、暴徒による襲撃を避けるために赤と白のインドネシア国旗を軒先に出した店も多く、さながら国民の祝祭日の様相を呈している。
暴徒への実弾発砲も辞さない強硬姿勢で暴動を押さえ込んだ軍は、公園などにテントを張り野営しているが、街頭に兵士の姿は少ない。
道行く住民の表情もさほど緊張しておらず、中国系住民経営の商店を標的とした暴動には慣れっことなっている余裕をうかがわせた。
広い市内を車で走ると、各所に焼け落ちた商店や車、窓ガラスに投石による多数の穴があいた銀行などが目につくが、異様なのは、多くの店が二階の窓からイスラムの礼拝に使う小さなじゅうたんを垂らし、イスラム教徒であることを誇示して襲撃を避けようとしていることだ。中国系住民の大半は仏教徒かキリスト教徒で、イスラム教徒はごく少数だからだ。
緑の多い市中心部に豪壮な邸宅を連ねて中国系実業家らが住む一角はひっそりと静まり返り、人影はまばら。近くにある高級ホテルには、四日から中国系住民が一家総出で避難場所を求めて殺到。八日も二百以上ある客室の六割が地元中国系住民で占められている。
[1998-05-08-20:12]
共同通信ニュース速報
【ジョクジャカルタ8日共同】インドネシア・ジャワ島中部のジョクジャカルタで五日から六日にかけて起きた大規模暴動で、大学生や高校生、商店主ら七人が行方不明になっていることが八日、人権擁護団体「法律援護協会」ジョクジャカルタ支部の調査で分かった。
七人は暴動沈静化から丸二日過ぎても家族に連絡がない。逮捕などを恐れ自ら身を隠している可能性もあるが、同支部は「治安当局にら致された可能性がある」と所在確認に全力を挙げている。
調査によれば、五日夕から六日未明にかけ、警察や軍の治安部隊、一万人以上が参加した政治、経済改革を求めるデモ隊に解散を命じた。しかしデモ隊が命令を無視し暴徒化したたため、ガス弾を発射したり参加者や周囲にいた市民を無差別に拘束した。
暴動が収まった六日午後から「家族が戻って来ない」との報告が同支部に相次ぎ、調査を始めたが、七人は警察の拘束者や病院の入院者のリストに含まれておらず、友人宅などでも見つからなかった。
インドネシアでは民主活動家らの不明事件が相次いでおり、支部関係者は「警察など当局がひそかに尋問している可能性も残る」と話している。
[1998-05-08-11:44]
5/09と5/08のポスコタより
【記事訂正】 5/07に送信の記事中の失踪して帰還した人の名前を「ピウスラナン」と書きましたが、正しくは「ピウス・ルストリラナン」ですので、ここに訂正します。
【5/08のポスコタ】
(1) 1面トップのマンガ:坂道を転がり落ちようとしている「生活の重荷」というボールを「大衆」の三人が押して転がり落ちないように止めていましたが、そのうち二人が重荷に耐え切れず跳ね飛ばされてしまい、残りの一人が必死に押さえています。もう耐え切れずに体中が震えはじめています。坂道には下に向かう方向板があり、それには「失業」と書いてありました。
(2) 小さいながら興味ある記事が二つありましたので紹介します。
★ 売春窟と薄暗い屋台が暴徒に破壊された。これらは二人の家主が所有しているもので、そのうち一人の妻が暴徒に襲われ怪我。この影響で近隣の同家主の持っている二十所帯の借家も窓ガラスと扉が投石で破壊された。この騒ぎは住民が恐怖(何に対するものかは記載されていない)で逃げ出したことから発生した。売春婦がその借家に住み着いているという推定から大衆がこれらの家屋を破壊したもの。
★ ジャカルタ西郊外のスルポンにある歓楽街が暴徒に襲われ、貴重品と現金を盗まれたとスルポン警察に届け出た。この破壊活動はいくつかの建物に対して行われ、その犯人はすでに逮捕されている。
《こういう事件だと、被害者に対して警察はおろか一般大衆までだれも同情しない。「貧乏人から(売春婦)からカネを巻き上げやがって、ざまー見ろだ」と思うだけである。売春婦にも同情しない。それは、不特定多数とのセックスをコーランで固く禁じている教えが底流にあるからだろう。だから、このようにハラム(禁止)されている商売をやっている人たちの財産は取られっぱなしになる。かわいそうなのはいったい誰だろうか?》
(3) 結婚紹介所とテレクラの広告が混じって掲載されているので、真面目な紹介所も「その手」かと疑ってしまう。テレクラの新聞広告が最近増えてきたようだ。
【5/09のポスコタ】
(1) 一面トップは「DPRか内閣全員が辞任するか。DPRは石油燃料(BBM)と電気料金の値上げに関する大統領令を失効させる」とある。《一体どうなっちゃってんの??》
DPRの第五委員会(Komisi)は、通貨危機のこの時期は大衆に負担をかけるだけゆえ、BBMと電気基本料金の値上げを通達した大統領令(Keppres)69号と70号を失効するように政府に要求した。
(2) ジャカルタ特別市議会(州議会に相当)の四会派は、ジャカルタ知事から提案された6月からBBMに課せられる5%の税金法案を拒否した。
(3) 北スマトラ州警察本部長が突然更迭された。
この更迭はここ数日の暴動に関係しているものと思われる。暴動の最中に警備側が大学生を追いかけている間に起きたボビー君(11)の焼死は経費側に原因があると目撃者は語った。また女子大学生に対する警備側の性的嫌がらせも目に付いた。新本部長は着任の演説の中で「組織にとって、私自身にとって、そして大衆にとっても最良なように形作りたく希望する」と語った。この暴動はメダンからLubuk
Pakam, Tembung, Tanjung Morawa, Batang
Kuis,
Rantau Prapatに、最後はPematan Siantarにまで達した。
(4) (大きな写真入りで)ジャカルタのムハマディア大学生約500人がDPRに無言デモ。
1998年の国民評議会でたくさんの間違いを起こした事に対して国民に謝罪せよという要求書を手渡した。これ以外には、直ちに賄賂・コネ・閨閥主義をなくすために社会改革に着手することを要求した。
(5) 軍はクーデターを行なわないだろうと国民評議会副議長のシャルワンハミッド中将は語った。軍には「その単語」がないので、クーデターは多分行なわないだろう。「軍にあるのは憲法に基づいたメカニズムだけである」と語った。シャルワンは大学生たちと種々の会見を行ない、個人的に国家の指導や改革について尋ねられていたともらした。クーデターの件に関して、原則的に軍は憲法にしたがって常に歩を進める。それゆえ、指導が必要な時には軍との意見が一つになろう。「軍はクーデターも起こさないし、最高司令官にも反抗しない」と語った。今後の大学生の社会改革要求を心配して、国家の指導性の地位の問題に触れないでは社会改革は実行できないだろうと、シャルワンは語った。憲法的社会改革の方向へ持っていくように軍はこの経済危機の中で努力する。それゆえ意見にさが出た場合に大衆の意図を橋渡しするのが軍の責務である。とも語った。
(6) 最大政党のゴルカールは大統領の任期を制限することに賛成した。国会議長のハルモコは、大統領の任期を2003年以降、五年で二回までに制限することに賛成したと語った。ハルモコはスカルノとスハルトを歴史上の偉人として、スカルノを(独立の)宣言者、スハルトを国家建設の実行者として評価した。ハルモコの言では、ゴルカールは大統領権限を制限する方向により傾いている。《「毎日うそつき君
= hari2 omong kosng」にもこう言われちゃどうしようもない。》
(7) (小さい記事で)スハルトさんは「メダンをはじめとして数箇所で発生した暴動は人権に反している」と語った。情報相は「警備側によるものと思われる人権侵害に焦点を絞るだけではいけない。より大きい人権侵害は無視されることになる。大統領は、われわれが民族と国家のより大きな重要事項のための対策を取るように希望している」と語った。
(8) 数百人の北スマトラ大学教員・学生が大学校内で集会を開き、大衆が必要としている件に関する大学生の声を軍が支持するように要求した。
(9) 1759人のインドネシア人不法就労者をマレーシア強制送還するのに海軍艦船を使う。これらの就労者の出身地は東ジャワ州859人、西ジャワ州28人、中ジャワ州185人、残りはその他。
レンバールで西ヌサトゥンガラ州出身者549人、東西ヌサトゥンガラ州出身者66人を下ろすことにしている。
(10) スラバヤで医師看護婦が路上デモを行なう。
大学生だけではなく、スラバヤのストモ病院の医師・看護婦・その他の職員の四千人が病院の二つの門をぶち破り、昨日街頭デモを二時間にわたり行なった。彼らは横断幕を持って薬価引き下げBBMと電気料金さらに生活基礎物資(sembako)の値下げを要求した。スラバヤだけではなく、木曜日の昼間にはバンドンのいくつかの国立大学の教授が数都市の数千人の大学生のデモを支持する宣言文を作成した。バンドン工科大学(ITB)、ガジャマダ大学(UGM)、ボゴール農科大学(IPB)、アイルランガ大学(Unair)、インドネシア大学(UI)の教授たちがITBに集まり、経済的、社会的、政治的問題に関する宣言文に署名した。
(11) 西スマトラ州パダン市役所に投石。
街頭をデモしたIAIN イマムボンジョル大学生は市役所に投石の雨を降らせ建物の窓ガラスと駐車中の自動車の窓ガラスを割った。リアウとランポンの大学生の五千人が教育大学に集結し、賄賂、コネ、閨閥主義を止めて清潔な政治を行なうこと、BBMと電気料金の値下げを要求した。
ついにジャカルタで暴動が始まった |
1998/5/13
5/13のポスコタ+ラジオ他より
今日は朝から夕方まで現場に出張していてパソコンが使えない状況にありましたので送信が遅れました。ごめんなさい。
(1) 一面トップはジャカルタのTrisakti大学での事件。ポスコタもの他の新聞記事内容とかわりませんから、そちらをご覧ください。★朝八時の105.1MHzのプロウドゥアFMでは、トリサクティ大学長がラジオのインタビューに答えて「大学構内における無防備な相手に対する銃撃などの警備側の無謀な行為は極めて遺憾である。頭や背中、脇腹を撃たれて死亡した。その血の跡が今でも大学構内に残っている。デモの最中、ものを損壊したりした大学生はいない」と涙が出そうな声で発表した。また、デモに出た大学生インタビューでは、「16:00頃に警備側から『デモ隊の皆さん、整然と抗議行動を行なってくれてありがとうございました。われわれも戻りますからみなさんも大学構内に引き上げてください』という警備司令官からのマイク放送があった。デモ隊は構内に引き上げてそれぞれBaksoなどの軽食を取り始めた時16:15頃から突然警備側からの発砲があり、そばにいた学友が撃たれて死亡した。結局校外に出られたのは23:00過ぎだった。 このニュースを聞いた市民たちはカンカンになって怒り、ラジオ局は聴取者からの追悼と抗議フアックスを次々に紹介。また、この警備に当たった警察の署長を生中継の電話で呼び出したが、「会議中」とのことでインタビューできなかった。▲また夜七時のテレビニュースでも同様なファックスを紹介していた。同ニュースでは、ウィラント総司令官に報道陣が山のようにたかってコメントを求めていた。記憶にある限りでは、ウィラント総司令官は官僚的回答をしただけで、なんら具体的解決策を示さなかった。◆これを聞いた私の事務所の職員たちもカンカンになって怒ったのみならず、職員の一名がトリサクティ大学の講師をしているので、悲しみと怒りがさらに盛り上がったようだ。《このトリサクティ大学は有力者やお金持ちの子弟が通学する大学として有名。また、大規模なデモが行われた大学の構内を訪れてみても、日本の70年安保の時のような物的損傷はまったく見当たらず、普段と変わらないたたずまいである。大学生の社会的地位が高いためにインドネシア人大学生の方が日本人よりも大人なのか?
》
(2) ジャカルタ地区司令官のシャフリ・シャムスディンは、大学構内で行なわれる抗議行動に対する時は十分落ち着いて行動するよう全ての兵士に対して求めた。さらに、有効な法律の条項に大学生が抵触した時でさえ、憲法に基づいた行動をとるよう固く決意せよと1000人の将校たちにリマインドした。同司令官は、学生たちの抗議行動はまだ許せる範囲のものだと語った。《警備部隊の中の「跳ね返り」が「やきもち半分」で実力行使をした疑いが高い》
(3) アリ・アラタス外相は、デモ隊は社会の一部分の人たちを代表しているだけなので、彼らの要求している政治改革を受け入れることはありえない、と語った。さらに「彼らの要求は国民を代表するものではなく、自己利益を求める一部の人達を代表しているだけだからだ」と続けた。《スハルトさんと一緒にノーリターンでも良いですよ!》
(4) 「私は、統制の取れた行動をする一味によって行われた誘拐事件の犠牲者である」とデスモンドは数百人の内外の報道陣が同席した国家人権委員会で語った。ピウスのように国外にはでずに、国内でこの事件を解決したい。一月半にわたって乱暴な扱いを受けたとも語った。
【最後に】
明日、インドネシアを発って帰国しますので、しばらくのあいだ「ポスコタ無断配信」はお休みさせていただきます。二ヶ月後にまたインドネシアに渡航した時には復刊させていただきます。
短い間でしたが御愛読ありがとうございました。インドネシア語の専門家ではないため翻訳に不備な点があり、なにかと御面倒をおかけしたことをここでお詫びさせていただきます。
「すばらしい国・インドネシアになってください」と、最後になりましたが、お祈りいたします。
Sekian Terima kasih 「ポスコタ無断配信人」
総領事館からのお知らせ
総98第15号
平成10年5月13日
在留邦人の皆様へ
在ジャカルタ日本国総領事館
1.昨日(12日)学生デモと治安当局の衝突のあったトリサクティー大学において、本日(13日)午後にも、大学構内を取り巻いている治安当局と構外に出ようとする学生の間で衝突がありました(学生側より投石、車への放火行為等があったのに対し、治安当局よりゴム弾の発砲が行われた)。また、スマンギ交差点北方のスディルマン通りでは、アトマジャヤ大学の学生に一般市民が加わり、治安部隊と睨みあいが続いています。この結果、市内の一部の一般道、高速道路で通行止めになったところもあります。
2.このような学生デモを巡る状況は明14日以降も発生することが予想されますので、邦人の皆様におかれては、引き続き、群衆の集まる場所及び大学キャンパス及びその周辺に近づかない等十分な注意を払われるようお願いいたします。
●在インドネシア大使館、在ジャカルタ総領事館
電話:021−324308 FAX:021−3157156
大使館インターネット・ホームページ
http://www.rad.net.id/eojind/
1998/5/14
平成10年5月14日
総領事館からのお知らせ 総98第16号
昨13日、ジャカルタ市内各地でデモ及び暴動が発生しており、引き続き治安当局との衝突が予想されます。
この様な中、日本政府は本14日午後2時(ジャカルタ時間)、別紙の「観光旅行延期勧告」を発出しましたのでお知らせいたします。
在インドネシア大使館は、これを受け、今次緊急事態に対応するため大使館内に川上大使を本部長とする「緊急事態対策本部」を設置いたしました。
つきましては、大使館、総領事館は、外部からの照会に対応するため、下記直通電話回線を設置いたしましたので、併せてお知らせいたします。
直通電話 021−3190−0877
3190−0878
3190−0879
3190−0880
3190−0881
3190−0882
FAX 021−3190−0874
3190−0875
●大使館・総領事館代表電話番号:021−324308
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外務省海外危険情報
インドネシア:危険度2「観光旅行延期勧告」
1998年(平成10年)5月14日
インドネシアへの渡航を予定される皆様及び同国に滞在されている皆様へ
1.インドネシアにおいては、現在、全国レベルで学生によるスハルト大統領の退陣を含む政治・経済改革を求める抗議デモが活発化しています。各地の学生のデモは、本年4月末までは大学構内に限定されていましたが、5月に入ってからは学生デモ隊に一部市民が合流し、大学構外に出て、治安当局と衝突する事態も発生しています。
5月4日から6日にかけては、北スマトラ州メダン市で、学生の抗議デモに続き、市民の一部も参加する暴動が発生しました。また、12日以降は、首都ジャカルタ市内で学生と治安当局が衝突し、死傷者が生じる事件も発生しています。
2.このような状況の中、同国では、生活必需品を中心とした物価の高騰、失業者の増加、燃料、公共料金等の値上げ、一部銀行の営業停止等経済面で依然として困難な状況が続いており、今後とも5月20日の「国民覚醒の日」などあり、各地で各種の事件が発生する可能性もあります。
これまで、学生デモや暴動事件において、在留邦人を含む外国人が直接被害にあった例は報告されていませんが、在留邦人や邦人渡航者が巻き込まれる事件が発生する可能性も排除できません。
3.つきましては、インドネシアへの渡航につき「観光旅行延期勧告」を発出しますので、観光等を目的とする不急の渡航は事態が収拾されるまでの間、延期して下さい。同国に滞在中の方々も上記情勢に十分考慮し、下記の事項に十分留意して行動して下さい。また、外務省、在インドネシア日本国大使館、在ウジュンパンダン日本国総領事館、在スラバヤ日本国総領事館、在メダン日本国総領事館及び、現地関係機関等より最新情報を入手するように努めて下さい。
(1)3カ月以上滞在される方は、滞在される場所の近くにある日本大使館または総領事館へ、「在留届」を遅滞なく提出して下さい。
(2)外出の際には身の回りの安全に十分に注意して下さい。
(3)群衆の集まる場所及び大学キャンパス及びその周辺(大学近くのバス・ターミナル等人出の多いところを含む)には近付かないようにして下さい。
(4)根拠のない噂に惑わされて動揺されることのないようにして下さい。
(5)外出中に不測の事態が起きた場合は、自宅(旅行者の場合はホテル)か職場に行き、事態が鎮まるまで待機して下さい。
【最新情報・南ジャカルタ地区】
5/14午前7:35、南ジャカルタ市警察署では、隣接する屋台でいつものように朝の腹ごしらえをしている警官は全くおらず、数十人が警察署前の広場で朝礼を行なっており、その横には出動を待機している自動小銃をもった重装備の警官数十人が三々五々待機していました。二台の警察用トラックには、防弾チョッキや盾などが積んであったのを目撃しました。この時刻の道路の状況はいつもと同じでした。
昨夜は、大規模デモのために、夜までジャカルタ中心部の交通が麻痺していたとのことで、いつ突発的に事件が起きるか分からないので、どこにでも逃げられるように事務所の同僚は徒歩帰宅した人もいました。
昨日の「買い物帰りのインドネシア人の奥さんがタクシーに乗って悪口を言ったために警察に捕まった」話の続きです。どうもこのタクシーの運転手は軍人のようで、情報部員かどうかは分かりませんが、たくさんの軍人がアルバイトを兼ねてタクシーの運転手をしているということですから、タクシーご利用の際は十分にご注意ください。
【5/14のポスコタより】
(1) 今日のトップは「大学生大衆の追悼」でいつもは赤か青か黄色なのですが、今日に限って黒字に白抜きになっています。副題は「数百の自動車、ガソリンスタンド、交番が焼き打ちに」ジャカルタは、数百の自動車、オートバイ、ガソリンスタンド、交番、建物などの焼きうちなどの暴動の攻撃を受けている。この暴力行為は火曜日のトリサクティ大学での流血の惨事から尾を引いているもの。同時に、若い命を奪われた六人のトリサクティ大学生に敬意を表するために数千人の大学生が哀悼の意を表した。BCAのジェランバール支店が混乱の隙を狙う群集に見まわれ、値打ちのあるコンピューターや事務器が強奪された。同時にトリサクティ大学東側で海兵隊に行く手を阻まれた大衆が暴動状態になり、自動車二台を徹底的に壊した。暴徒は警備側と政府の悪口を叫びながらガジャマダプラザに近づいた。ロキシマスショッピングセンターを壊すことに失敗した暴徒は、後戻りして裁判所とジャカルタ検事局の建物を破壊した。その後、暴徒は道を渡って数十軒の商店、銀行、ホテルなどを破壊し、ハルモニ交差点で解散した。暴徒は19:00頃に「グロゴール線」から出発した。暴動の中心から離れた地域でも散発的に暴動が発生し、そのいくつかは強盗などの犯罪行為を伴っていた。
チェンカレンの商店街は昨夜23:00まで連続して破壊と放火に見舞われた。チェンカレンショッピングセンターは火災から逃れた。警備側と暴徒側は投石の応酬を繰り返し、ダアンモゴット通りはカリデレスバスターミナルまで完全に暴徒に閉鎖されてしまった。駐車中の自動車だけではなく周辺住人の自動車まで放火した。車庫や空き地に止めてあった高級車は、大通りまで引きずりだされたのち放火された。
(2) スハルト氏が哀悼を
15G出席のため、おりからエジプトに外遊中のスハルト大統領は、死傷者発生の原因となった大学生の抗議行動中の不幸・災害(musibah)に哀悼の意を表した。《@この記事はとても小さく載っている。Aなにがmusibahだ。自分が神様だと思っているようだ!》
(3) インドネシアウラマ協議会が双方とも自制せよと声明
同協議会は、同胞たちに対して現在の状況下で自制するよう希望すると語った。これは「トリサクティの悲劇」に関連する声明として上げられたもの。「どのような意図を持っていようとも、生命に関わる犠牲者のみならず物財の犠牲暴力的手段でこれ以上増やすことから自己を開放すべきだ」とナズィリ・アダニ書記長は語った。
(4) さようなら社会改革の英雄たちよ。
灰色の火曜日は社会改革の英雄たちを戦死させてしまった、とムダントン・ムルテジョ・トリサクティ大学長は語った。これはトリサクティ大学生の遺体を前に遺族に伝えた言葉である。「本当なら大衆を守るべき警備陣に狙撃されて、彼らはその若い命を摘み取られてしまった」と重い口調で唇を震わせながら語った。「かれらは今後も政府に対する英雄として記録されるのではなく、社会の安定を妨害した者として評価されることであろう。それゆえ彼らは銃撃されざるをえなかったのだ。しかし、私ははっきりと分かっている。社会改革を希望しているトリサクティ大学関係者一同とインドネシア人の心の中には、彼らが英雄としてあることを」と続けた。
その後、シャフリ・ジャカルタ特別市地域軍司令官が、最後のはなむけの言葉を送り、ヤースィーン(コーランの中の一章で葬式の時に必ず読まれる)を読んだ。
亡くなったエランの母親であるヘラテティさんは、シャフリ司令官に近寄りのその両膝に飛びつき、「(エランの死は)受け入れられない。必ず犯人を捜し出してください」と涙ながらに依頼した。同司令官はヘラさんに、徹底的に調査すると約束した。
(5) ジャカルタ閑散、商店閉店、ヒトケもさっぱり
暴動の標的になることを恐れて、ジャカルタ市内の多数の商店は昼から閉店した。ショッピングセンターは買い物客で普段はごった返しているが、この日は全く閑散としていた。それどころか朝から閉じている店もいくつか見うけられた。パサールジャヤは15:30に閉店。パサールスネンでは、暴動の群集がこちらに向かってくるという噂があったため、ガードマンが閉店を命じた。チトラランドでも11;00には閉店した。ガジャマダプラザ、ハヤムウルックプラザ、ロキシ・マス、トマンプラザ、タマンアングレクモール、グロドックプラザ、ハルコプラザでも草々に店じまいをした。
(6) 総司令官は強硬方針、DPRはトリサクティ事件を追及
ウィラント総司令官は、トリサクティ事件に関して徹底的な調査を行なうと発表した。大学構内で抗議行動を行なう場合にはその制限をしないという大学人との協定を、我が軍は破ったとも語った。ウィラントによると、校外にいる警備陣は、国民としてのまた大学生としての権利を行使してキャンパス内で意思表示することを本来なら遮ってはならない。「これ以上の犠牲者の発生を抑えるためにも、このような行動は直ちに中止すべきである。彼らが犬死にするのは忍びない」と追加した。ゴルカールは警備側と法律家にトリサクティ事件の究明を請願した。同時に、Kesatuan
Penerus Perjuangan RI代表スチプトは、軍は国民が生み出したものとして、国民を守るべきであり、法律と公正さを堅持する様にしなければならないと、軍に対しての声明を発表した。
(7) 亜民・メガワティトリサクティ大学に出席
六人の社会改革の英雄の追悼のため幾人かの有名人が出席した。
(8) 公共運輸会社の30%が倒産の危機に
料金の値上げにもかかわらず経営が悪化しており、車両の50%しか運行していない。BBMの値上げとスペアパーツの値上げによるもの。
(9) トリサクティ事件の犠牲者リスト
1. Elanng Mulia (土木建築科) 背中被弾による死亡
2. Heri Hertanto(機械工学科) 銃撃による死亡
3. Hafidhin Roya (経済学部) 頭部被弾による死亡
4. Hendrawan (経済学部) 脇腹を撃たれて死亡
5. Royadi (経済学部、トリサクティ大学放送アナウンサー) 銃撃によって死亡
6. Alan Nuryadi (経済学部) 銃撃によって死亡
7. Verno Prasetyo 頭部被弾による怪我
8. Bulotammu 背中の被弾による怪我
9. Fransiskus 脚部被弾
10. Yudo Yulianto 脚部被弾
11. Moh. Ali Rahman 腰上部に被弾
12. Yunatan 銃創
13. Samsul Bahri 腹部被弾
14. Rahmat Sofyan 胸部被弾
15. Jajang Nurdiansyah 被弾
16. Riga 催涙ガス
17. Firman Rifai 催涙ガス
18. Yanuar 催涙ガス
19. Yansen 警棒による殴打
20. Cornel 警棒による殴打
21. Hendra Gunawan 怪我
トリサクティ大学生失踪者(臨時リスト)
1. Lulu 建築学科
2. Hamdan 建築学科
3. Garet 建築学科
4. Badai 機械工学科
5. Ferry Walah 機械工学科
6. Iwan Bancil 機械工学科
7. Affian 機械工学科
8. Agung 機械工学科
9. Rio 経済学部
10. Charles 経済学部
11. Novario 機械工学科
12. Bram 機械工学科
13. Mono機械工学科
14. Rifki機械工学科
15. Zaki 会計学科
16. Safrin 会計学科
17. Paul Kadarisman IKJの写真家
18. Daniel Noviadi 機械工学科
19. Rahmat 会計学科
20. Eko Praksono 会計学科
データ出自:
暴行による犠牲者と失踪者協議会 (Komisi
Orang
Hilang dan Korban Kekerasan = Kontras)
【帰国できず→ポスコタの続き】
みなさん、こんXXは。ポスコタ無断配信人です。今晩の飛行機で帰国するつもりでしたが、空港付近のチェンカレン街で昨日の晩から暴動があり、空港までの道路が全面閉鎖していることといつ暴動がおさまるか全く分からないので、帰国を数日延ばすことにしました。ジャカルタの暴動は数箇所で発生して収拾の目処が立っていません。数日すると「峠」と言われる5/20になってしまい、インドネシアはさらに混迷の度を深めるかもしれません。
ま、それはそれで良いとして。引き続きポスコタの無断配信を続けられることができてうれしい限りです。今日の暴動では午前中に職員を帰宅させた会社が多く、僕も、お昼ご飯(ナシパダン)のあと帰宅しました。道路はがらがらでした。今晩は新聞社の職員は出社するでしょうが、明朝の配達がどうなるか分かりませんので、明日は無断配信が出来るかどうか不透明な状況です。あらかじめお断りしておきます。
【今日のジャカルタ】
★18:30のRCTIテレビニュースから
首都の数箇所で暴動が発生し、不法行為が行なわれたことに対して、ウィラント司令官は、「法律に基づき、破壊活動に対しては断固とした処置を取る。そのためには軍は危険を冒すこともあえて行なう。現在百以上の部隊が首都に集結して治安警備に当たっているが、必要に応じては他の地方からの増派もおこなう。直ちに暴動は中止せよ」と記者会見の席上語った。
★ 19:15のTVRIニュースから
ウィラント総司令官は、トリサクティ事件で殺された大学生に、軍の行為であると陳謝した。
★ 陸軍特殊部隊と一般人が暴動・破壊活動を行なわないように路上でキャンペーンを行なった。
ラジオニュースによる11:30現在の状況
ジャカルタ市内数箇所で暴動などが起きています。コタのハヤムウルクとマンガブサールでは車や商店が燃え、コタ南端付近のハルモニやジャティネガラでも大騒ぎになっています。ブロックMの警察庁本部前には既に警備兵が準備しているとのことです。また、チェンカレン空港付近は昨夜からの暴動のため交通が完全に遮断されています。今晩までこの交通遮断が続くかどうかは夕方の情勢次第で、不明です。
また、ハリム空港も今晩スハルト大統領が帰国するので、国内線の到着便がどうなるかわからないとのことです。
1998年5月19日 ジャカルタ 行動記録 | ||
Cinere(宿舎)発 | 17:30+0700 | |
JKT空港着 | 19:00+0700 | |
Checkin終了 | 20:15+0700 | ロビー中人の洪水。臨時窓口 No.22 (KALの増便のためいつもの窓口が使えなかった。)JALの列の前の方に並んでいた現地事務所勤務の友人のおかげで早くチェックインできた。 |
FISKAL支払い終了 | 22:10+0700 | No.22の方のカウンターが大混雑していたのでJALの係員がN0.16の方のBank Bumidayaへ案内してくれた。 |
Immigration終了 | 22:20+0700 | |
1998年5月20日 ジャカルタ→東京 | ||
搭乗終了 | 00:05+0700 | 台北行きのCALの出発が三時間近く遅れて、E4のエプロンがあかなかったためらしい。 |
搭乗口閉鎖 | 00:40+0700 | 三人の乗客の搭乗を待っていたため。 |
離陸 | 00:50+0700 | 便名はJL1726(臨時便)機体はJA8547 DC10ほぼ90%の満席状態。この便は日本国政府がチャーターしたものではなくJALが自己リスクで増便したものである。片道運値は後払いで約$990であるとFISKAL待ちの時に聞いた。通常と異なりこの便はすべてエコノミー。またいつもは出ない食事が離陸後提供された。空港で長時間待った乗客が多かったので、この食事はありがたかった。朝はサンドイッチとジュースのみ。 |
飛行中はほとんど寝たきりオジサンであった | ||
成田空港着陸 | 09:20+0900 | 全く普通どおり |
Immigration | 09:38+0900 | 全く空いていた |
通関終了 | 09:55+0900 | 荷物の出方は普通であった。一般の時と異なり、避難者が多かったためか荷物が少なかった。 |
ABC送付手続き終了 | 10:05+0900 | 全く普通どおり |
京成空港2駅発 | 10:35+0900 | 出社のため、青砥乗り換えで京急品川下車、会社までタクシー |
本社着 | 12:15+0900 | 普通ならまっすぐ帰宅するはずなのに |
【国際避難民観察録】 |
5/19のCengkareng空港
《19:00 出発ロビーにて》
見送り客の待合室に入りきれない人たちが車道から建物への連絡通路から車道沿いの通路に溢れ出している。いつもなら通路に置いてある、荷物を載せる台車も見つからない。運転手を待たせて待合室に入り、台車を探すがなかなか見当たらない。ポーターが空の台車を押しているのを見つけてRp1000握らせて台車をもぎ取ろうとするが、Rp1000追加しろという。Biarin(勝手にしろ)とばかりもう一枚千ルピア札を渡してようやく台車をものにした。
台車に大きなトランク一個と小さなトランク二個、バッグとパソコンを乗せて待合室に入ろうとするが、そこここに島となってぎっしりかたまっている人たちが邪魔で台車が進まない。もちろん見送り客の待合室の入り口ドアは開けっ放しである。ようやくの思いで待合室に入ると、そこは中国人たち(華人[現地国籍の中国系住民]かどうか不明)の塊。どの顔も緊張で引きつっていて中国語が飛び交っている。いつもの軟らかいイメージは見当たらない。
手荷物検査所を通過すると、そこは韓国人の黒山だった。韓国政府が臨時便を準備したために、韓国人が空港にどっと押し寄せたらしい。パニック状態におかれた韓国人にしては、怒鳴り声も聞こえないのは、インドネシアに派遣された彼らはそれなりの選択を経てきている人たちなのだろうか。韓国人の黒山と、手荷物検査所のあいだにもインドネシアのプレブミ(インドネシア現地人)たち、華人たちがぎっしり詰まっている。そのわずかな隙間に台車を押し込み、ぐいぐい押さないと全く前に進まない。この人たちは好き勝手な場所に台車を置いているので、ますます通路が狭ばまるばかりである。彼らの台車の向きや位置を動かしながら少しづつ進む。どうしてもどかない嫌な顔をする彼らにも愛想を振りまきながら進む。ときおり嫌な目付きなでこちらをにらんだが強硬突破した。
《19:20頃の大韓航空チェックインカウンター》
19:20頃だろう、大韓航空のカウンターでは、係員がカウンターの上に立ちあがってハンドマイクを使って韓国語で何かを叫んでいる。それに応える韓国人たちのどよめきや叫びは聞こえない。その係員の隣のカウンターでは数人の男性乗客たちが係員に詰め寄って、口角泡を飛ばして何かを抗議しているが、声は雑踏に消されて、サイレント映画を見ているかのようである。年齢別構成を見ると日本人たちよりも児童や幼児が多いように見えた。
《寝ているプレブミたち》
韓国人の人ごみを抜けると、広々とした場所に出た。チェックインカウンターの中間の広場である。この広場の通路以外は、出発便を待っているプレブミ達ばかりがピクニックマットの上にいわしの缶詰のようにびっしり寝ている。この人たちをよくみると老人たちと幼児があまりにも少ない。老人たちはインドネシアに置いておかれたのか、幼児達はさきに避難したのかは知らない。いつものプレブミ達だったら、座って何かをつまみながらおしゃべりしたり笑い声が満ちているはず。しかし、疲労困憊しているのか、ただ静かに横になっているだけである。これを見て、暴動の際に発生した火災犠牲者の数百の遺体がならべられているのをおもわず連想してしまった。それほど活気がなかったのだ。顔つきから見ると、彼らは高学歴の上流家庭の人たちのようだった。
《JALのカウンターにて》
この「いわしの缶詰」を通り過ぎるとJALのカウンターである。ここも乗客たちが緊張しているのが分かる。冗談を言っていても、それが緊張をほぐそうとするものであるのがあからさまなほどだ。19:30ころからカウンターに並びはじめてもなかなか列が進まない。これは焦っているからそう感じているのではなくて、事実なかなか進まないのだった。
列のしっぽにいた僕は、別なJALの特設カウンターに誘導され、そこの前列にいた会社の同僚を見つけた。彼らは家族でチェックインしようとしていた。すかさず荷物と航空券を預ける。エクセスが出たらちょっと困るな、と思っていたが、人数が多かったために超過料金はかからずじまいだった。
《FISKAL窓口にて》
ここもまた黒山の人だかりであった。並んでいる一人が10cmにもなんなんとするパスポートの山を窓口に出している。税金の合計は数千万ルピアに達するだろう。事情が分からなかったがときおり、ウォーッというどよめきが列の前列から聞こえた。待っているうちに搭乗時刻は着々と迫ってくる。するとパキスタン航空(PIA)のパキスタン人と思える係員が口々に「Pakistan
Airline Passengers?」と叫びながら乗客を探しに来た。列の中の数人が手を上げると、係員は強引に列をかき分けて乗客に近づき、窓口に領収証を早く発行するように強硬な姿勢で迫ったらしい。雑踏の中なのでよく聞こえない。出発便のディスプレーを見ると出発時刻はとっくに一時間以上もすぎている。この便はシンガポール経由のカラチ行きなので、当然避難民が喜んで使うはずである。PIAが一時間以上も遅れているなら他の便も右へならえになるはず。日本政府のチャーター便が避難民を沢山積み残したのなら、国会で大問題になるはずである、と、とりあえず自分を納得させるしかない。
このカウンターの列がなかなか進まないので、隣のカウンター前にあるFISKAL支払所に移動した。ここも列をなしていたが、割とスムースに支払いを終えることができた。この際には複数の列に友人たちを配置しておいて、ある程度列が進んだ時点で、最前列にいる仲間に手続きを任してしまうのが有効である。
★この手続きに一番時間がかかった。最悪の場合を考えてFISCALだけに三時間がかかるとみ込んでおいた方が良かった。
芋を洗うような避難民の雑踏の中にあるこの列に並んでいるだけで、汗びっしょりになった。
★タオルとアクアを忘れずに。
《イミグレ(出国手続き)の後》
イミグレを抜けると、サテライトに向かう通路の壁側に沢山の乗客たちが座り込んでいる。大部分が放心状態である。「ここまで来ればどうにかなる」という安堵感なのか。いつもなら聞こえる若い女性の観光客たちの笑い声も聞こえない。売店には買い物客が誰一人としていないのもこの事件を象徴しているようだ。
《機内にて》
搭乗後出発までかなり待たされた。三人の乗客がFISCAL支払所で引っかかっているとのこと。
★この時期ですから時間には余裕を持って空港に来ましょうね
ちなみに、このフライト(JL1726)は日本政府のチャーターによる臨時便ではなかった。料金未払いのまま搭乗した客も多かったとのことで、後で料金請求が回ってくるしくみとなっているらしい。その料金も、本来ならエグゼクティブクラスの普通料金である。この料金でほぼ満席(約300人)の乗客をチャーター便で運んだら、こりゃぁ大儲けだと思ったのは僕だけではあるまい。
このような危機的状況に陥ると、その国民性が露骨に表れる。さて、インドネシア人の目にはこの時の日本人がどのように映っていたかは、僕は知らない。
2008-07-02 作成
2009-05-06 追加
2009-08-07 追加修正
2015-03-16 修正