嗚呼、インドネシア
40話 マゲタンの遺跡 (Petirtaan Dewi Sri at Magetan-Jatim)

 毎週日曜日には早朝から自転車でちょっと足を伸ばしてマディウン市郊外を徘徊している。

 12月02日には西にあるマゲタン(Magetan)まで中距離サイクリング。マディウンからTakeranまで約10kmで標高が20mしか違わないほぼ平坦路である。 TakeranからGorang-grengまで約7kmで標高は60m異なるがそれほどの上りだとは感じられない。Gorang-garengからMagetanまでの後半がかなりの上り坂である。水平距離で約10kmで標高を200m稼がねばならない。Magetanの中心にあるAlun-alunの標高は約350mであった

 さて、ここでお知らせするのは輪行記録ではなく行程の途中にあった遺跡なのである。ラウ山とウィリス山の間のマディウン盆地には奇妙なことに遺跡がほとんど存在していない。マディウン盆地の西側にはチャンディチェトやチャンディスクウなどの観光地になっている有名な遺跡がたくさん存在し、反対側の東側にはクディリとブリタルを中心としてたくさんのチャンディが知られている。地理的に考えてここマディウン盆地だけに遺跡が存在しないわけがないのである。まだ発見・発掘されていないだけであろうと考えていたら、やはり!

 この遺跡はMagetan 県 Nguntoronadi郡Simbatan村にあるPetiraan Dewi Sri と呼ばれていて、村人が昔からここに詣でていたという。意味は「天女・スリの沐浴場」である。この遺跡は1973年には知られていて、最近になってから発掘と修復が行われているとのことである。現在も仮屋根をつけて修復中であった。Goranggareng - Magetan街道には小さな看板があるだけで、見落としやすい。さらにこの曲がり角から遺跡まで看板がまったくないから、訪問されてる方はGPSを持っていくことをお勧めする。この遺跡までのGPSデータは筆者が記録・保管しているので、ご連絡を。ただし、文化財の盗難の危険を招く骨董商はお断りする。 

 もちろんこの遺跡でもいくつかの神像が発掘されて、トロウランにある神像保管所に保護されているとのことであった。管理人の話ではこの遺跡は10世紀に建設されたものであるとのことであったが、構造材料が素焼きレンガであることとデザインからみてチャンパ王国の影響を深く受けたマジャパヒト時代のものではないかと思われる。マジャパヒト王国の中心であったトロウランにある沐浴場・チャンディ・ティクスに比べると1/4から1/5の規模である。この沐浴場の北側の丘の上に居住遺跡があるのではないかと筆者は想像するが、未発見である。またこの沐浴場を造った王朝などもわかっていないということである。
2015-03-10追加分
出典<https://bentengmagetan.wordpress.com/2011/09/03/petirtaan-dewi-sri/>

Petirtaan Dewi Sri 別名Candi Simbatan, Sendang Beji

場所: Desa Simbatan, Kecamatan Nguntoronadi, Kabupaten Magetan

現状
Petirtaan Dewi Sriは18mの正方形をなす沐浴場である。この沐浴場遺跡とともに出土したものは、家の模型が7個、神像の破片7個、水路1個、ヨニの破片1個、古井戸1基、Kemuncak(頂上という意味だろうが不詳)の破片1個、新しい稲の倉庫4個。Petirtaan Dewi Sriの中央部は2007年から修復が始まっている。

歴史
Petirtaan Dewi Sriの存在は古くから近在の人たちには知られていたが、大規模な発掘は90年代に入って初めて実施された。家の模型の屋根に見つかった碑文によると、サカ歴905年(西暦983年)と、サカ歴917年(西暦995年)という数字が書かれている。屋根の部分以外でみつかった碑文にはサカ歴906年(西暦984年)とサカ歴917年(西暦995年)という数字が読み取れる。この遺跡は古マタラム(ヒンドゥーマタラム)時代の者であると考えられる。それ以外には、家の模型の屋根に羽を持つカタツムリの彫刻があり、これは10世紀のPu Sindok治世にやける公式なマークである。

神話
Petirtaan Dewi Sriの主沐浴場の内部には、近隣住民がDewi Sriと認識している女性の神像がある。ヒンドゥージャワ民衆の神話ではDewi Sriは命の元を与える女性として認識されている。

入り口
この遺跡の位置はS7 41'31" E111 26'32"である。

この門は南からほぼ30度西に向いている。

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2007-12-02 作成
2015-03-10 修正
 

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