嗚呼、インドネシア
34話 ゴア・プトゥリ Gua Putri 
 中部ジャワのソロから東部ジャワのマディウンへはラウ山北麓のスラゲン、ガウィ(Sragen, Ngawi=鼻濁音のガでないと現地人には伝わらない)を通る国道二号線と、ラウ山の直下の南の峠を通るもの、WonogiriからPurwantoro、Ponorogo経由、さらには南海岸のパチタン(Pacitan)を通る道の4ルートがある。
 最初に挙げたのは国道で、ジャワ原人の骨が見つかったトゥリニルを通る平坦な道で交通量が多い。
 二番目の峠越えは避暑地であるタワンマグゥ(Tawangmagu)とサラガン(Sarangan)を抜ける道である。州境の約1850mの峠をはさんでカラン・パンダンからサラガンの東側にあるマゲタン(Magetan)までは急勾配で急カーブの道が続く。土砂崩れがあるので豪雨のときは通らないほうが良い。
 三番目は一旦ソロから南下し、Wonogiriを通り約500mの低い峠にあるPurwantoroを通り、Ponorogoで北上する丘越えルートである。交通量は少なく、道も広いので走りやすいが、距離が長くなる。
 四番目はWonogiriからさらに南下し、パチタン(Pacitan)というジャワ島南海岸の町を通り、北上しPonorogoに抜ける道である。交通量が少ないので走りやすいが、距離が最も長くなるのでほとんど使わなかった。


 いつもは最初の経路で出張するのだが、今回(2007-05-25)は景色が良いのと名所がある峠越えと、道沿いにいくつかの鍾乳洞があるパタチン経由の道路を通ってみた。以下はその報告である。

 ソロからは一路Karang AnyarとKarang Pandanを経由してチャンディチェト方面に向かう分岐点(S7 36.964 E111 04.919)を右手に本道をひた走る。道が狭い割りに大型トラックやバスが多いので運転には注意が必要だ。ソロから一時間強でタワンマグゥに到着。標高は既に950mである。晴れていても涼しい町である。

 州境まではあと約20分である。下の写真は州境の峠付近(標高1860m)からみたラウ山の南麓である。
 この付近は気候が清涼で朝夕はセーターが必要なほど寒い。また多数の修行場と観光地がある。

 州境の中部ジャワ側は山の上まで耕されているが、東部ジャワ側はまだ原始林が残っていて、それの中をしばらく進む。峠から約15分で東部ジャワ側の避暑地であるサラガン(標高1330m)に着く。仕事場はその遥か下に見える。

サラガンの南東部にあるポノロゴ(Ponorogo)近郊での仕事を済ませたあと、一路パチタンに向かう。パチタンは今の大統領であるスシロ・バンバン・ユドヨノの出身地でもある、ジャワ島には少ない島の南岸にある町である。ポノロゴとパチタンとの間にはジャワ島の背骨というべき低い山脈がはしっている。その標高550mの峠を越えて約二時間でパチタン着。。

 パチタンからは、南海岸の丘陵部を走る。その中にいくつかの鍾乳洞があり、今回はミステリーポイントであるプトリ鍾乳洞(Gua Putri)を訪ねてみた。パタチンから約一時間半である。
 プヌン(Punun)という小さなパサールの東側を南に折れると、すぐにプトリ鍾乳洞の看板が見える。

 訪問したとき、所有者であり管理者であるパルディ(Pardi)さんと会うことができて、説明を受けた。
 この鍾乳洞の入り口は崩落した土砂にほとんど埋もれていて分からず、1994年に鍾乳洞が発見されたもので、公的には観光施設として認められていないため、パルディさんが私費を投じて遊歩道や休憩所の整備を行っている。

 さて、ミステリーは遊歩道の入り口から始まるのである。駐車場からすぐの入り口付近にはほぼ直角方向に連続して怪しい雰囲気が漂っていた。あとで聞いたところ、この線の下に鍾乳洞があるとのことであった。 低い丘の下にある鍾乳洞の入り口にはきわめて怪しい雰囲気が濃厚であった。
 ミステリーが大好きなインドネシア人ゆえにか、Legi(ジャワの暦の日)の金曜日の前の晩には、何人かが鍾乳洞の入口付近で徹夜で瞑想するとのことであった。
 筆者が帰路出口付近でいとまごいをした時に、青緑色の竜とニャイロロキドゥルと思われるイメージが浮き上がったのであった。

プトリ鍾乳洞入り口前の遊歩道 

プトリ鍾乳洞入り口
 パルディさんに尋ねたところ、太平洋戦争当時の金属類やそれよりも古い時代の古銭、動物の骨、オランダ時代に隠したと思われる貴金属などが見つかったとのことである。しかし、同氏がこれらの拾得物をかごに入れて置いたところ、ちょっと目を離したときに胡散霧消してしまったという。
 この鍾乳洞はあまり深くなく、また水平に広がっているとのことである。ちゃんとした発掘調査はまだ行われていないので、ひょっとすると原人の骨が見つかるかもしれない。将来の発掘が楽しみである。

 今回の旅行中の記録を主要ポイントに限って示す。データは外国人が使うかもしれないので英語で。

Tawangmangu-Saragan-Ponorogo-Pacitan-Wonogiri-Surakarta (May 25, 2007)
Place Time Altitude(m) Coordinate
Surakarta 7:41 30 S7 33.637 E110 46.170
Branch point to Candi Cetha 8:37 S7 36.964 E111 04.919
Border between Jawa Tenggah & Timur 9:14 1860 S7 39.784 E111 11.262
Saragan 9:28 S7 40.447 E111 13.459
Start from Ponorogo 13:22 S7 52.132 E111 27.686
Pasar Punun (Entrance to Gua Putri) 16:05 S8 08.257 E111 00.972
Gua Putri Access Entracne 16:09 S8 08.843 E111 00.381
Gua Putri 16:15-16:34 375 S8 08.859 E111 00.320
Wonogiri 17:35 S7 55.119 E110 56.969
Surakarta 19:10 S7 33.637 E110 46.170

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2007-05-26 作成
2010-06-10 地図記事追加訂正
2015-03-10 修正
 

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