嗚呼、インドネシア
31話 トラワス大仏

 2007年1月31日に東ジャワ州マラン市から中部ジャワ州スラカルタに仕事場が移動したので、その引越しついでに経路途中にある遺跡を訪ねてみた。

トラワス大仏 (Reco Lanang = Buddah Ashobhaya)

Reco Lanang-1

Reco Lanang-2

Reco Lanang-3

Reco Lanang-4
 高さ5.4m, 幅30m、奥行2.58mであり、大仏の位置は南緯7度40分21秒、東経112度34分59秒。台座の標高は916m である。 現在の像は西から南に23度の方向に向かって鎮座している。
 この石造大仏は1854年に発見された。発見されたときには南を頭に仰向けであったとのガイドの説明があった。
 宗教を問わず参詣者が多いとのこと。お線香たてにも新しい燃えカスがあった。
 たしかにこの地点は地縛霊などの影響がなくすがすがしいので、瞑想するにはうってつけの場所である。

 2007年5月17日にTrowulan博物館館長のアリス氏に尋ねたところ、この大仏は未完成のタイプであるとのことであった。


<2016年8月23日追加分>
Slamet Muljana教授によると、人間はどんなに苦行しても仏陀にはなれないからこのような仏像は90%まで作ったところで止めてしまうのだ、とのことである。この仏像のみならず、ボロブドゥール寺院の頂部にある仏像にもこのような未完成のものがあったという

 2007年10月03日に訪れた青森県下北半島の恐山でよく似た仏像に出会った。この仏像は約50cmの高さであり、この大仏とは比較にならない大きさだが、一目見たときにこのReco Lanagを思い出したほど似てた。Reco Lanangは製作途中で政変などがあり製作中止になったものと思われるが、最終的な形は下の写真のようになる予定であったと思われる。
 ちなみに「恐山」という山はなく、宇曽利(うそり)、アイヌ語でくぼ地という意味だそうである。ここはカルデラ湖である宇曽利湖(標高約250m)であり、天然林に囲まれている人口が希薄な地域である。冬季は訪れる人もないためお寺もしまってしまう。


参道入り口の写真、同行のSarwantoさん。彼は別に驚いているわけではない。
 どこか日本の霊場の参道を思い出してしまうような風景であった。

ここに行くには、Trawasの町を目指して進み、この町に入ったらArca Cottageの看板を辿ってゆく。数キロでコテージに着くから、そこからさらに約100m自動車道路を登ると上の写真の大仏の参道下まで行くことができる。
 この坂が急なのと参道の階段が石貼りなのでハイヒールは避けるのがのぞましい。
 大仏の近くに食堂や店舗はない。Arca Cottageが平日でも営業しているかどうか、食事が取れるかどうかは調べていないので、訪問される方は水と食料を準備していった方がよい。


上記の記事とはまったく関係ないのだが、ジョグジャカルタ パラントゥリティスの入場券と、世界でも珍しい「トイレチケット」をゲットしたのでここに掲載しておく。

Entrance Tickets

Toilet Ticket

(2015-03-08追加分) 
2014年にSlamet Muljana氏の歴史書を読んでいたら、人間はいつまでたっても解脱できない、すなわち完成した形にならないのでこのような仏像は完成させないことがあったとある。たぶんのこの仏像も同じ経緯をたどったのではないかと思われる。
 仏像が埋められていたのはこの地域のイスラム化に伴う偶像破壊から守ろうとした為ではないかと推測される。

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2007-02-01 作成
2007-02-17 追加
2007-03-04 追加訂正
2007-05-19 Trowulanの部分を移動
2007-10-10 恐山の仏像を追加
2015-03-06 追加
2016-08-23 追加訂正
 

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