インドネシア不思議発見 |
第39話 「インドネシアの普通の人達」ってなんだろう |
インドネシアで、日本人が何気なく使っている「普通の人」というのは社会的や経済的に見てどの辺のあたりなのであろうか。 日本人の場合は、「一億総中流」意識を持っていて、特別な金持ちや貧乏人だけをを「普通じゃない人」と呼んでいるのだから、総人口の80%の一億人が中流といっていいだろう。また、日本の社会ではほぼ全員が給与所得者であり源泉徴収でばっちり所得税を絞り取られる。したがって、所得のほぼ全てを給与所得が占めている。しかし、インドネシアでは、給与所得者は労働人口の半分以下であろうし、さらに支給額は給与のみならずリベートなどもあるから、所得額をつかみ難いことは言える。 従って、「普通の人」の層は政府発表の所得額からは推定しがたい。統計資料に掲載されている所得額では一週間も暮らしていけないことをインドネシア人は全員知っているが、「偉いお役人さんが作ったもの」だから黙っている。「沈黙は金」なのである。 |
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さて、実際に一ヶ月あたりどのくらい生活費がかかるか試算してみた。ジャカルタ郊外に住んでいる夫婦と小学生二人の子どもがいる所帯を仮定して一ヶ月の家計支出を概算してみると約100万ルピアであった。物価は1997年8月現在のもの。ちなみにこの時には$1=Rp2500であった。 物価は1998年2月、約$1=Rp8000では約1.5倍となっている。 借金もない、家を持っていて、洋服も買わない、付き合いもしない、家族全員健康であるという、最高の条件が整っていてもRp700,000は毎月掛かるのである。 日本人の平均的サラリーマンが東京で生活する程度相当のレベル、インドネシア社会に置き換えて考えた場合、生活実感からしてジャカルタでは家賃を含めて毎月Rp200万は必要である。 この程度の生活を東京圏でやるとなると、一ヶ月の家計支出は20〜25万円相当になろう。 統計上で給与収入が30万ルピアとしてあっても、実際はその三倍以上の収入がないと生活ができない。インドネシア政府の統計中で特に所得額の部分はとんでもない嘘である。賄賂などの課税対象外収入があることと、収入が多いと課税されること、近所の手前収入が多いと嫉妬されることを怖がり、国勢調査の時に本当のことを言わないので、現状と全く食い違う結果が出るのである。 |
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“庶民”標準所帯月間支出 2002-07-30更新
“庶民”標準所帯月間支出(2011年11月現在)
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上の表から見ると、2002年から2011年までの9年間に生活費は約二倍になっていることがわかる。給与収入はそれほど上昇していないようだ。 大都市と農村部では金銭消費額と生活費に占める支出の比率が異なる。農村部では自給自足が原則なので食費の額が安くなる傾向にある。また、大都市と農村部では消費の動向が異なるので、市場調査には注意が必要である。上記の表は1997年8月現在の費用である。 勤務先のインドネシア人スタッフによれば、事務所がきたないのは良くないとのことである。まだ筆者は日本の企業であるから許されるのであるがインドネシア企業の場合には事務所は必要以上に華美にしないと顧客から相手にされないと友人の実業家が言っていた。これを邪推するとこうなる。 インドネシアでは副収入が正規収入の額を上回る。従って、正規の職場を利用して副収入の増加を図るのが経済効率からいっても当然の方法である。そのためには、正規の職場で偉い地位についているということを、それから副収入を得ようとする相手に知らしめる必要がある。従って必要以上に事務所を華美にして見せびらかせる必要がある、のである。 |
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1998-02-22 作成 ジャカルタにて
2000-10-20 更新 表の変更
2002-07-30 更新 表の変更
2015-03-04 修正