インドネシア不思議発見
25話 男性の指輪

 インドネシア人男性の指にはよく石の入った指輪が見かけられます。それも安っぽい石をさらに安っぽいしんちゅうや白銅の台に入れてあるものがほとんどです。お金持ちは金の台に高そうなルビ−やサファイヤ、エメラルド、ダイヤモンドが入った装飾のための指輪をしていますが、人によってはお金持ちの中に不釣り合いな安っぽい指輪をしている人がいるのが不思議です。
 これは、インドネシアの人は宝石や貴石に不思議な超能力があると信じているからなのです。またムハンマドがアッら−の啓示を受けた時にトルコ石の指輪をしていたという逸話があり、これにあやかっている節(ふし)も見受けられます。人によっては指輪にせず、石のままいつも筆入れなどにしまってあり、お守りとして使っています。今回は、このように日本人男性には余り縁のない指輪の石についてお話しましょう。

こんな感じの指輪です。中指と薬指につけている金色の指輪は18K。
 宝石の効用としてふたつがあげられます。一つは単に装身具にすることと、第二には石の持つ効用を利用するということです。宝石にはいろいろな効用があることが昔から分かっていました。効用のある石を身体の中で一番効果のある場所に付けて、「神様の波動」を強めたり、悪い波動を消したりするのに使っていました。仏像を良くみると、在家の姿をした像は必ず宝石の入った飾りものを身につけています。
 最近流行の宇宙エナジ−利用でもいろいろな石を組み合わせて、その用途に使っていることはご存知でしょう。また、太陽石、ヒンラヤ石、水晶などが病気治療や飲料水の水質改善などに、さらに宝石ではありませんが永久磁石なども病気治療に使われています。おなじみのピップエレキバンがこれです。「あら、ヤダ」なんて言わないで下さい。ご自分で気が付かないうちにじわじわとあなたも石の虜になっているのですヨ。時代というものはこのように進むのです。

 宝石は他人から奪い取ったり無理矢理買うものではなくて、いただくものなのだそうです。無理矢理入手するとあとでコワ〜〜イことになることは、世界でも有名な宝石に付いている逸話でご存知の通りです。
 インドネシアでも、あげたい人に「宝石を差し上げる」ようにしていますから、親戚などから遺産として戴いた指輪はそのままの形で使っています。現代の日本人は「そ−んな馬鹿な」といって聞こうともしませんが、ザイヌディン師によれば、霊の波動が石にこもっているとのことで、その善し悪しを問わず持っている人たちに影響を与えるのだそうです。また、インドネシアの超能力者は指輪の石から悪い霊の波動を取り除いて良い霊の波動と入れ替えることなどをしており、よほど強い波動でない限り、コンピュ−タ−のフロッピ−ディスクの内容を書き換えるように、簡単に入れ替えることができるとのことです。指輪の石になにかの波動が入っているかどうか、また封入されている波動が黒魔術に属するものか、白魔術に属するものか、さらにその波動が肉体の健康に役立つものか、あるいは知性の向上に役立つものなのかは超能力者でないと分からないと師匠はおっしゃっています。

 信心深いインドネシア人たちはこんな理由で金持ちも貧乏人も老いも若きも指輪をしているのです。よく観察していると、毎日違った指輪をしてくるのに気がつきます。毎朝出かける前に、今日の仕事と体調で指輪を選んでくるからでしょう。ザイヌディン師によると、毎朝の礼拝の後アッら−に選んでもらうのだそうです。一つだけの時もあれば二つの時もありますし、もっと多い時もあるそうです。大体いつも師匠は二個の指輪をしていますが、それも安物ばかり。

 宝石は宝石商で買うものと日本では決まっていますが、インドネシアでは貴石までは道端の露天商(kaki lima)で売っています。安いものはRp500から高いものでRp100,000位までです。露天商の付ける値段は大体相場の4倍くらいですから、言い値の1/4以下に値切ってようやく正当な値段になります。筆者はまだ行ったことがないのですが、コタのグロドックに宝石商がかたまっていると聞きます。もし興味がおありなら小金を握ってブラブラと宝石商めぐりをしてみるのもおもしろいでしょう。またジャカルタの西にRangkasbitungという町があり、この郊外にオパ−ルの鉱山があります。色は灰色から茶色、白でオ-ストラリアの青いオパ−ルに較べると安っぽいのですが、値段がそれなりで気に入っています。商店ではなくて駅のそばのパサ−ルに露天で商売しています。訪ねてみるのは生鮮食料品の買い物客が少なくなる午後が良いでしょう。値段はあってなきがごとしで、最初一個三十万ルピアだと言っていたのが、一時間もしないうちに三個で二十万ルピアでいいなどと言い出す始末です。彼らの立場になってみると、商談が成立しなければ現金が入らない。従ってご飯も食べられない。宝石では腹はふくれない。といった感じなのです。

 宝石装飾に興味がない人たちにとっては、宝石をその値段ではなくて効用で買うととてもお得です。数百万ルピアの石よりも数千ルピアの石の方がその人の体質に合うことが結構多いからです。体質に合う石かどうかは、ホロスコ−プなどでも概略は分かりますが、一番いいのは石の持つ効能とあなたの必要としている波動がマッチしているかどうか分かる超能力者と一緒に石を探しにいくことです。一般的に言って、日曜日は超能力者たちが患者の治療に当たり忙しいので、ウィ−クデイに彼らを誘ってみるのが一番です。インドネシア語がよく分からなくても、超能力者たちはあなたの波動が分かりますので心配しないでください。かれらへの謝礼は石の値段の15%もすれば充分です。あなたが買った石は日本に持って帰って鑑定させてみると、本当に安い石かもしれません。でも、この石はあなたのインドネシアでの生活の記念品であるとともに、長く持っていると大切な・頼りになる親友になりますので、安物と言っても邪険にしないであげてください。

 超能力者達がいつも指輪をしているのは、自分の持つ波動を指輪によって少し変えてやり、患者などからでる悪い波動を消しているのではないか思います。というのは、診察・治療する患者から出る悪い波動は、訓練すれば「外気功」で消すことができますが、手っ取り早いのは石を身につけて、その波動と同調しようとする自分の波動の周波数を変えてしまうことだとザイヌディン師は言っています。

 指輪の台は金かプラチナが一番良いそうですが、しんちゅうなどの銅合金でもかまわないそうです。ただし、しんちゅうの指輪ははめているとすれて指が黒くなりますから金メッキさせましょう。金メッキ代は千から二千ルピアですから大した額ではありません。もし剥げたらまたメッキすればいいだけです。

 ちなみに金台の指輪は大体18金が多く、1グラムあたり材料費が三万ルピア弱と加工賃がその20%くらいです。男物の大型の指輪で約15グラムの金が必要で、工賃込みで五十万から七十万ルピアです。出来の良いものが欲しければショッピングセンタ-の宝石商で、出来を問わなければパサ-ルの中にある金屋(Toko Mas)に指輪を注文するのが良いでしょう。信用できる金屋はお宅の女中さんたちがよく知っているはずですから、彼女達を引き連れて金屋を渡り歩くのもまたインドネシア人の生活を知る上で参考になります。注意しなければならないのは、パサ-ルの床が汚いので靴と服が汚れること。またスリ・置き引き・ひったくりが多いのでチャラチャラした服ではなく動き易い普段着でいくことです。

インドネシアで最大の宝石と貴石の市場はジャカルタのジャティネガラ駅前にあるラワ・ブニン(Rawa Bening)です。筆者は縞メノウが好きなので時々ここで買い求めます。最近買い集めた縞メノウとムーンストーンなどのパワーストーンはこちらです。

[参考文献]
1. 「宝石パワ−の活用術」 Dorothee L. Mella著 中央ア−ト出版社刊
2. 「クリスタル・ヒ−リング」 秋月菜央著 KKベストセラ-ズ刊
3. 「気の人間学」 矢山利彦著 ビジネス社刊

【おまけ】
 Kaki limaというのが露天商人の代名詞になっています。なぜ五本足かというと、荷車についている左右両車輪でふたつ、止めたときのつっかえ棒が一本、そして押して歩く人の足が二本で、合計五本になるからなのだそうです。別な説では、露天商の占める幅が5フィートだったからというのもあります。日本とは異なり、インドネシアの屋台は押して歩くのが普通です。なぜなら、引いて歩くと後ろが見えず商品を盗まれるからなのだそうです。眉唾ものですが一応理屈は通ります。

 筆者はしょっちゅう日本とインドネシアを往復していますから、友人達から日本での買い物、特に腕時計や珍しい形のライタ−を頼まれます。腕時計は日本人に買ってもらった「日本製」というだけでかなりのプレミアが付くそうです。慈善行為と称してもちろん利益は取りません。友情が効を奏しているかは分かりませんが、彼らは筆者が買ってきたものを大事に使ってくれています。店を持たず利益もなしの商店ですから、「空飛ぶ露天商(kaki lima terbang)」と自称して笑っています。
 筆者は長期間インドネシア以外の国に行っている場合もあるのですが、インドネシアの友人達は「いつでもいいから」といって注文を押しつけてきます。こういう時に限って、注文の品を買うのを忘れてしまい、再会した際に叱られてしまいます。長い間インドネシアを留守にしてまた来る場合には、一か月前に「ジャカルタに行くぞう」とメールを入れるようにしています。
 こんなことが10年以上も続きようやくインドネシアの友人たちから信用を受けるようになりました。「石の上にも十年」というように。
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2015-03-03 修正
 

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