インドネシア不思議発見
10話 腰が曲がった人が少ない
 インドネシアの田舎の村を訪ねても、腰の曲がった老人を見かけることが日本よりも少ないと思います。 インドネシアの田舎では日本が昔そうだったように、ほとんど農林業で生活を立てています。また日本とは違い、田植えや稲刈りの農作業にはまだ人力を沢山使っています。田植えや稲刈りは腰を曲げて作業するし二期・三期作もするので、農家の人たちは腰が曲がりそうだと思うのですが、ついぞ見かけることがありません。これはなぜだか考えてみました。  腰の曲がる理由として、カルシウムなどの不足、運動不足、姿勢の悪さなどが考えられます。カルシウムは食事から摂取されます。ジャワやスンダ料理では小魚を丸揚げしてそのまま食べることが多いので、カルシウムの摂取量がひと昔の日本に比べて多いことがあげられると思います。
 また、田舎ではまだ歩くことが多いのと、農作業の手伝いや薪割りなどの老人のための肉体労働があることが言えると思います。さらに毎日五回のお祈りのたびに合計17回も立ったり座ったり背筋を伸ばしたりするために、血行が良くなり骨粗しょう症になりにくいことも一つの原因かもしれません。  今まで田舎では食料が不足気味だったのか、若い時分に満足に食べられなかったのか知りませんが、食料が豊かになった今、男女ともせっせと甘いものを食べているのを見かけます。従って「中年太り」が多く、日本で言う「座敷ブタ」の中年女性をよく見かけます。おなかと胸に肉がたっぷりついているから、猫背になるのも難しいのではないかと思います。一方中年の肥満から、高血圧やリュ−マチ、糖尿病が多いのもインドネシアの特徴でしょう。貧乏人は病院に行けませんから、厚生白書の統計上には出てこない患者が大多数だと思います。インドネシアの人は男女を問わず骨が細い割には胸板が厚い上、女性は胸が豊かなので猫背では背骨に無理がくることがあるのかも知れません。多産のため内臓が下がるのを防ぐためか、ジャワの民族衣装のカイン(腰巻き)をきっちりと体に巻き付けた上、帯でしっかりと締め付けます。帯の幅は琉球の衣装と同じくらいです。しっかりした木綿がほとんどで、ときどき首吊り自殺にも使われるほど強いものです。インドネシアのオバサマたちが結婚式などに出席する時にはこの民族衣装です。結婚式などから戻り、普通の洋服に着替えて、おなかを両手でちょっと持ち上げてからストンと落とし「ふう−っ、楽になった」と言っているのを見ると、日本人が着物を着ているのと同じように帯に縛られて辛いようです。
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2015-03-02 修正
 

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